Salesforce.comは米国時間9月10日、同社のさまざまな開発者向けプラットフォームやリソースを単一のクラウドサービスとしてまとめた「Salesforce App Cloud」を発表した。同社の狙いは、「Force.com」から「Heroku」、新インターフェースの「Lightning」に至るまでのすべてのものを容易に使用できるようにすることだ。
App Cloudは、ID情報やデータ、ネットワークといったサービスのアーキテクチャを共有する。その結果、こうしたアーキテクチャがビジネスアプリケーションの構築に向けた接着剤として機能するようになる。
App Cloudには「Heroku Enterprise」やLightningユーザーインターフェース、Force.comに加えて、「Trailhead」という学習リソースが含まれる。またApp Cloudは同社のマーケットプレイスである「AppExchange」チャネルにも接続できるため、230万人の開発者を擁するエコシステムを利用できるようになる。
Salesforce.comのこの動きは、顧客が待ち望んでいたものだ。同社は大規模な開発者エコシステムを抱えているものの、プラットフォーム同士は分断されていた。また企業は、複数の環境におけるアプリの煩雑な管理という問題に悩まされていた。
App Cloudの製品マーケティング担当ディレクターKayne Burk氏によると、同サービスを使えば複数のユースケースに対処できるようになるとともに、顧客関係管理に必要となるさまざまなデータポイントに接続できるようになるという。同氏は、「顧客はサイロ化された環境でアプリを構築しており、統一されたカスタマーエクスペリエンスを提供できていない状況にあった」と述べたうえで、「App Cloudは完全に接続された製品だ。これは『Salesforce1』プラットフォームの進化版と言える。秘密の調味料はシェアードサービスだ」と述べている。

App Cloudには以下のサービスが含まれる。
- Heroku Enterprise:「Private Spaces」によって、Salesforceのツール群とレガシーアプリケーションが接続可能になる。ネットワークやデータ、アイデンティティといったサービスも共有される。また、コンプライアンスに準拠するために、特定のエリアでアプリを実行するリージョンといった機能も用意されている。App Cloudのリージョンは当初、ダブリンとフランクフルト、シンガポール、シドニー、東京、バージニア州北部、オレゴン州となっている。

- Lightning:Salesforceのユーザーエクスペリエンスプラットフォーム。「Lightning Design System」とコーディングのハウツー集も利用可能。
- Trailhead:ガイドやハウツー集、コードのビルディングブロックを提供する学習環境。ユーザーから管理者、データ分析者、マーケッターに至るまでのあらゆる人を対象としている。
App CloudのHerokuコンポーネントは2016年初めにリリース予定であり、一部のLightningリソースは10月からパイロット運用が開始され、2016年第1四半期に一般利用が開始される予定だ。Trailheadは10月に提供開始予定。App Cloudの一環として新たにリリースされるサービスの価格は一般利用が可能になった際に発表される。現在利用可能なその他のサービスでは従量制による価格体系が適用されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。