ハイパーバイザを活用してサーバやストレージなどをまとめたアプライアンスなどを提供するニュータニックス・ジャパンは9月9日に報道関係者向けに日米の最新動向説明会を開催した。
4月から日本法人のマネージングディレクターに就任した安藤秀樹氏は日本法人の現状について、「日本市場参入時に、大規模システムをアピールしたことから『モノはいいけど、高い』という印象を持つお客様も多い。決して高額な大規模商品ばかりでなく、スモールスタートできる商材もあることをアピールしたい」と解説した。
ニュータニックス・ジャパン マネージングディレクター 安藤秀樹氏
安藤氏はまた「日本ではVDI(仮想デスクトップ環境)向けが最も熱い市場になっているが、それ以外の用途も増えている。SAP環境での利用例を間もなく発表予定でOracle製品やビッグデータと新たな用途を拡大したい」と新規用途開拓に意欲を見せた。
現在開発中のものを含む、最新の製品動向も紹介した。「複雑なものをシンプルに」というコンセプトの対象をパブリッククラウドまで拡大。2015年末にリリース予定のハイパーバイザのコンバージョン、現在開発中で発売時期未定のクラウドのコンバージョンデモを公開した。
ニュータニックスの日本市場での注力ポイントとして、安藤氏は次の6点をあげた。
- パートナービジネスの拡大
- スモールスタートの要望に応え、新規の顧客開拓
- レスポンス性能と拡張性が厳しく要求されるVDI基盤での強みを発揮
- 新たな活用領域でのビジネス開拓、SAP、Oracle環境、マシンデータを解析するソフトウェア「Splunk」を活用したビッグデータ領域、各種サーバの仮想化
- 製品品質の維持とサポート品質強化による顧客満足度の一層の向上
- 日本組織の拡大継続として、現行の従業員20人体制から2016年3月をめどに30人超体制の実現
「VDIは日本では最も熱い市場だが、海外での動向を見るとVDI用途は3割程度。他の用途の割合が増加している。日本も他の用途が増えているが、さらにVDI以外の用途を拡大していきたい」(安藤氏)
本社も株式公開前で、日本法人の売り上げなどの詳細は明らかにしていないものの、「以前は日本の売り上げ比率が全社の10%を越える例が多かったが、中国市場、米国市場の伸長もあって現在、この割合を実現するのは難しい。日本法人は早期に全世界の5%程度の売り上げを占めることを目指したい」と安藤氏は説明している。
Nutanix エンジニアリング部門担当シニアバイスプレジデント Rajiv Mirani氏
他の用途拡大につながりそうなのが、現在進めている機能拡充戦略だ。同社は2009年の創業以来一貫して、「複雑なものをシンプルに、シンプルなものをインビジブル(不可視)に」をユーザー向けメッセージとしてきており、今年6月には次世代プラットフォーム「Nutanix XCP(Xtreme Computing Platform)」を発表した。
「現在のITインフラはインビジブルなものになっていない。われわれは現在はインビジブルになっていないクラウド、仮想化、ストレージをインビジブルなものにするために新しいプラットフォームとしてXCPを発表した」(米本社エンジニアリング部門担当シニアバイスプレジデントRajiv Miranl氏)
XCPは「Nutanix Prism」と「Nutanix Acropolis」から構成されている。Prismはインフラ管理を簡略化するマネジメントコントロールスタック。Acropolisはアプリケーションモビリティファブリック、分散ストレージファブリック、仮想化などから構成されている。
Nutanix製品の基本的な構成(ニュータニックス提供)
XCPのシステム構成(ニュータニックス提供)
Acropolisの分散ストレージファブリックには新機能として、次の4つの機能が加わった。