ノークリサーチは9月14日、同社が発刊した「2015年版 中堅・中小企業におけるPC・スマートデバイス活用の実態と展望レポート」のダイジェストとして、中堅・中小企業におけるスマートデバイス端末の形状やOSの選択に関する調査報告を発表した。
調査は日本全国全業種の年商500億円未満の中堅・中小企業でPCやスマートデバイスの活用において最終決裁、計画立案、情報収集、管理/運用といった職責を担っている社員を対象とし、2015年7月に実施され、有効回答件数は496件。
それによると、企業による導入割合は「スマートフォン」「7インチタブレット」「10インチタブレット」「タブレットPC」の順となっており、「大型タブレット」は5.0%程度に留まっている。
導入済みのスマートデバイス端末形状(複数選択可)(年商500億円未満全体) (ノークリサーチ提供)
OSシェアに違いが出るのは「企業規模」よりも「端末の形状」、遊休端末の存在にも注意
導入済みスマートデバイス端末のOSについて、年商5~50億円(中小企業層)と年商100~300億円(中堅企業中位層)における主要OSの結果をプロットしたものが下のグラフ。導入済みスマートデバイス端末のOSについては年商規模による顕著な有意差は見られない。
導入済みのスマートデバイス端末OS(複数選択可)(ノークリサーチ提供)
スマートデバイスのOSと最も密接に関係している要素は「形状」だが、「導入割合の高い形状・OSである」ことが、「今後も同じ形状・OSの販売が伸びる」ことや「該当する形状・OSに対応した業務アプリケーションに需要がある」ことを示すわけではない点には注意が必要だ。
例えば「10インチタブレット」では「iOS」の割合が比較的高いが、このパターンには「iPadが初めてリリースされて注目を集めた際、明確な用途を検討しないまま企業で購入した」というケースもある。その結果、現在は遊休状態となってしまっている端末も少なからず見受けられる。
IT企業側としては形状・OSのシェア状況に加えて、それらが実際に活用されているのかどうか、また遊休状態の端末があった場合に、それらを再び活用するためにはどのような施策が考えられるか、などを確認/検討することが重要となってくる。
「実業務を担う現場の声」が重要な判断材料、一般消費者ニーズとの違いも把握すべき
下のグラフは、スマートデバイスの選択・選定について「方針を判断する部門などに関わる観点」について尋ね、そのうちの年商5~50億円(中小企業層)と年商100~300億円(中堅企業中位層)における結果をプロットしたもの。いずれの年商帯においても「実業務を担う現場のニーズに合わせて判断する」が最も多く挙げられている。
スマートデバイス端末の形状やOSに関する今後の方針(いくつでも)(ノークリサーチ提供)
スマートデバイスの活用は既存の業務システム端末の代替(ノートPCに代わるもの)という位置付けではなく、新しいビジネスの基盤と考えるユーザ企業が多い。そのため、端末の形状やOSの判断においても実業務を担う現場のニーズを重視する傾向が強くなると考えられる。
ノークリサーチでは、企業におけるスマートデバイス活用は一般消費者向けの市場と大きく異なるニーズを持っており、それらの違いを把握しておくことが極めて重要だとしている。