VMwareといえば、データセンターを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
しかし、同社はエンドユーザーの領域にも踏み込もうとしている。VMwareは先頃、「Windows 10」の導入とアプリケーションの配布を支援する、新たなソリューションを発表した。
VMworldでの新ソリューション発表の様子
提供:Conner Forrest/TechRepublic
これは、VMwareが「モバイルクラウド時代」と呼ぶトレンドに対応するための、同社の取り組みの一環だ。同社は6月に発表した「Business Mobility Report」でそのトレンドについて明らかにしている。このレポートでは、1182人のITプロフェッショナルやビジネス意志決定者に対して調査した。
調査結果の第1のポイントは、回答者のうち、自社でモバイルに備える取り組みを進めている(少なくとも1つの中核的なビジネスプロセスをモバイル対応に移行済み)のは17%に過ぎなかったことだ。ただし、調査対象の61%は、近い将来中核的なプロセスをモバイルに移行する準備をしていると述べている。
また、回答者のうち、自社で会社支給デバイスの使用を義務づけていると答えたのはわずか44%だった。これは、依然としてBYODが活発であることを示している。さらに、回答者はモバイルへの投資を進める理由について、次の3つの理由を挙げた。
- モバイルワーカーの生産性向上(45%)
- ビジネスプロセスの合理化(34%)
- モバイルワーカーの支援コスト削減(31%)
VMwareのエグゼクティブバイスプレジデントであり、エンドユーザーコンピューティング担当ジェネラルマネージャーであるSanjay Poonen氏は、「モバイルは新たなデスクトップだ」と述べている。
VMwareのプレスリリースによれば、Windows 10は「モバイルクラウドの視点に立ったOSであり、業界の変革を促す」ものであり、Windows 10はこのモバイルパラダイムに合致しているという。VMwareが発表した「Project A2」(Aの2乗)のテクノロジプレビューは、Windows 10の導入を支援するためのソリューションであり、エンタープライズモバイル管理(EMM)ソリューション「AirWatch」にアプリケーション展開のための「VMware App Volumes」と呼ばれる新たなツールを組み合わせたものだ。これによって、App Volumesを物理環境で利用することができる。
このプロジェクトは、物理環境の既存のWindowsアプリケーションをWindows 10の新たなモバイルクラウドプラットフォームに移行し、EMMツールですべてのアプリケーションを管理できるようにする。IT管理者はWindowsマシンに対して一貫性のある管理を行えるようになり、エンドユーザーはすべてのアプリケーションにアクセスできるモバイル作業空間を手に入れることができる。
VMwareは同時に、サービスとしてのIDプラットフォームである「VMware Identity Manager Advanced Edition」を発表している。これは、もともと「AirWatch Blue」および「AirWatch Yellow」管理スイートの一部だったものだ。今回、このサービスはChrome OS、Mac、Windowsで利用できるブラウザベースの単独のソリューションとして提供される。
Poonen氏は、VMwareがデバイスとデータを管理する「Workspace Suite」の概念を導入したのは何年も前だが、このIDマネージャはこれを概念として完成させる、最後のいくつかのピースのうちの1つだと述べている。同氏によれば、究極的な目標は、ユーザーには選択肢を与え、IT部門にはコントロールのための機能を提供することだ。
なお、「VMware Horizon 6.2」や「VMware Horizon 6.2 for Linux」などの、ほかの主な製品に対するアップデートも発表された。VMware Horizonには、大規模アプリケーションのサポート改善やユーザー体験の強化などが行われる。また、Poonen氏は、企業組織全体のセキュリティを改善する、VMware HorizonとNSXの間のシームレスな接続についても発表している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。