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フロントのIT活用は「やってみないと分からない」--ドリーム・アーツ山本社長 - (page 3)

大西高弘 (NO BUDGET) 怒賀新也 (編集部)

2015-09-17 11:50

事業部門の積極的な参加が最適なIT活用を作り出す

 山本氏の話を聞いていると、やはりフロント業務向けのシステムは、ユーザー部門が主導してノウハウを積み重ねていく方が適正な選択がしやすいと思えてくる。

 要件だけをまとめ、それをIT部門に伝えてフロント業務用のサービスを選考してもらうというケースもあるようだが、いずれにせよ、主役となる業務部門のユーザーが積極的に選考に参加しなければいつまで経っても、「本当に使える、業務システム」を手に入れることは難しい。

 そしてIT部門もあまり選考に時間をかけず、トライ&エラーを前提に、フロント部門用のシステムには対処した方がいい。山本氏は次のような話をしてくれた。

 「わたしは以前、インテルに勤めていました。インテルというと戦略的思考に基づいてすべて計画的に事業を進めていると思われがちですが、実はそうでもない。もちろん計画的に進めているものもあるのですが、一方で、ものになるかならないのか分からない、さまざまなプロジェクトが多数進められていて、偶然、ビジネスの種に発展していったケースもありました。成果が見込めないプロジェクトは素早く撤退して、責任追求することもない。わたしは、そうした風土をどうにか自社に根付かせたいといつも考えています」

 クラウドサービスを含めたフロント業務システムについては、リスクと後々の責任などにとらわれない、試行錯誤の取り組みが大切。もちろん、そうした企業風土を醸成するには経営者の努力が欠かせないが、タイミングを逸して、自社に合ったシステム導入がうまくできない企業は、し烈なレースから退場せざるを得なくなるかもしれない。

 企業や業界全体で1つのパラダイムを共有できていたのは80年代まで、と山本氏は話す。この言葉は、クラウドの登場をきっかけに従来型のビジネス手法から素早く転換し成果を上げている企業のトップの言葉として意味深い。IT活用なくしてビジネスを語れない時代にあって、業務部門、IT部門双方にも示唆に富む言葉だ。

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