本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本NCRの内藤眞 代表取締役社長と、ワークデイの小澤宏 シニア・エンタープライズ・アーキテクトの発言を紹介する。
「創業100周年を迎える2020年に向けてさらなる進化を遂げていきたい」 (日本NCR 内藤眞 代表取締役社長)
日本NCRの内藤眞 代表取締役社長
日本NCRが先ごろ、金融および流通分野向けの新製品を発表した。今年5月に社長に就任した内藤氏の冒頭の発言は、その発表会見で、経営トップとしての意気込みを語ったものである。
内藤氏は会見で新製品の説明に先立ち、「米NCRは創業130年、日本NCRは95年の歴史を持つIT企業の老舗だが、今年5月に入社してつくづく感じたのはまだまだ進化し続けている企業であること。そこで私も日本NCRを率いる立場として1つの目標を掲げた。東京オリンピックが開催される2020年に、日本NCRは創業100周年を迎える。これから5年後、当社がさらに進化した姿をお見せしたい」と力を込めて語った。冒頭の発言は、このコメントのエッセンスである。
ちなみに、米NCRの2014年の売上高は66億ドル。世界180カ国で事業を展開し、社員数は約3万人。金融および流通分野に強く、とくに銀行のATMや小売店のPOSレジでは今も市場をリードしている。米IBMよりも歴史が古い同社が存在感を維持し続けてきたのは、得意分野を持ち、内藤氏が言うように進化し続けてきたからだろう。
今回、日本NCRが発表した新製品は、国内外の各種カードに対応したシンクライアント型の「NCR Cx110キャッシュ・ディスペンサー」、省スペースながら高い拡張性を実現した「NCRセルフレジ スリム」、商品登録は販売員が行い、代金支払いは利用客自身が行う「NCRセミセルフソリューション」、直感的な操作やきめ細かいガイダンス機能で、個々の利用客のニーズに対応するための接客サービスをサポートするソフトウェア「NCR Sales Advisor」の4種類。
会見では、米NCRから来日した金融サービス担当のシニアバイスプレジデントおよび流通サービス担当のゼネラルマネージャーが、それぞれの新製品を説明しデモも実施。いずれも同社の戦略商品と位置付けられているだけに、説明にも力が入っていた。
内藤氏は、ソニーで20年以上の経歴を重ね、ソニー・コンピュータエンターテインメントのバイスプレジデントを務めた後、アカマイ・テクノロジーズ、NTTコミュニケーションズ、日本IBM、エーピーシー・ジャパン、シュナイダーエレクトロニクス、デル、CAテクノロジーズなどの要職を経て、直近ではアドバネット社長兼イタリアのEurotech副社長を務めていた。