Thunderにはさまざまな技術要素が包含されている。だから、将来的にお客様が必要とされる機能を追加することは難しくない。
例えば、現行のバーションには予測機能はないが、今後、データを収集するデバイスの種類は増加する。そのような状況でお客様が(予測機能を)求めればそうした機能を提供していく予定だ。
RelateIQに関する記者会見では、「GoogleやAmazonなどの競合にどうやって対抗するのか」「人工知能を搭載する予定はあるのか」といった質問が寄せられた。Dayon氏(右)とCTOのParker Haris氏(左)は「最先端機能で勝負するつもりはない。どれだけ顧客ニーズにマッチしたサービスが提供できるか重要だ」と訴えた
データを収集、分析するだけでは不十分
――IoT Cloudは新たな顧客を獲得する位置付けなのか。
Salesforceの製品ラインアップを補完するものだ。IoTはバズワードだが、お客様が単体で(IoT Cloudを)導入するシナリオは考えていない。センサデータをIoT Cloudで収集、分析しても、アウトプットするアプリケーションやインターフェースがなければ、単なるデータ収集ツールだ。
製造現場を考えてほしい。製造ラインに異常があり、現場でアラートが上がったとしよう。その場合、関係者が持つスマートフォンやモバイルデバイスに「何が発生し、どのようなアクションが必要なのか」を伝えられなければ意味がない。IoTから知見を得るためには、データを収集、分析するだけでは不十分だ。
――IoT Cloudのリリースで、Salesforceはセンサデータから顧客情報まで、あらゆる情報を管理するようになった。今後、こうしたデータを使用してデータビジネス市場に参入したり、“データプロダクト”のようなものをリリースしたりする計画はあるのか。
われわれのデータに対するアプローチは2つある。1つ目は、お客様が持つデータをより“スマート”にして使いやすくすることだ。今回発表したSalesforceIQのように、分析によって膨大な量のデータに優先順位を付けたり、データとのアウトプット先であるアプリケーションを(データサイエンスによって)賢くしたりするアプローチだ。
2つ目のアプローチは、企業データベースのようなサービスの「Data.com」だ。販売やマーケティングなど、業種別や地域別に企業を検索したり、企業情報の詳細を調べたりすることができる。ロイター通信などのデータプロバイダーとも提携し、顧客にとって有益な情報も提供している。
ただし、こうしたサービスは国によって規制があり、制限も多い。日本やフランスなどではサービスを提供しておらず、米国でも手探りの状況だ。Data.comは「顧客がビジネスを変革するための補完的なサービス」という位置付けであり、現時点でコアのビジネスになるとは考えていない。
Data.comの画面。日本でのリリースは「規制があってむずかしい」という