仮想化向けストレージのティントリ、オールフラッシュモデルを提供

NO BUDGET 田中好伸 (編集部)

2015-09-29 16:36

 ティントリジャパンは9月24日、業界で初という“仮想化専用”のオールフラッシュアレイ(All Flash Array:AFA)「Tintri VMstore T5000 オールフラッシュ」シリーズと最新OS「Tintri OS 4.0」、統合管理ツール「Tintri Global Center(TGC) 2.1」の販売を開始した。

 VMstore T5000は2モデルを用意。1ノードあたりの税別参考価格は、搭載できる仮想マシン(VM)が2500の「VMstore T5060」が5000万円、同5000の「VMstore T5080」が7400万円。TGC 2.1の参考価格は税別ライセンス費用が80万円から。

VMstore T5000
VMstore T5000(ティントリ提供)

 ティントリでは、仮想化環境向けにソリッドステートドライブ(SSD)とハードディスクドライブ(HDD)を搭載したハイブリッド構成のストレージを2011年から提供している。当時の仮想化環境は一般的なサーバ仮想化やクライアント仮想化が多く、ハイブリッドの採用はコスト効率を重視したもの。

 ティントリのストレージは独自アーキテクチャで仮想マシン単位でデータレーンを確保し、それぞれのアプリケーションのI/Oを最適化することで常にシステム全体を安定稼働させられるという。

 現在のエンタープライズITでは仮想化率の上昇と高機能化が進み、ビッグデータ解析など、以前では想定していなかったような大規模処理が当然のように仮想化環境で稼働するようになってきた。このような新しい仮想化の用途に適応するために投入されたのが、今回のオールフラッシュシリーズになる。ラインアップ拡充で、あらゆる仮想化されたアプリケーションをフルカバーできるとしている。

VMstoreラインアップ
VMstoreラインアップ(ティントリ提供)

 今回のT5000は一新された2Uサイズの筐体で最大5000台ものVMをサポート、ハイブリッドシリーズの最上位モデル「Tintri VMstore T880」(4Uサイズで3500VM)に対し、ユニット比で2.8倍の性能向上を実現したと説明する。

 T5000シリーズは、VM単位での性能管理、自動QoSによるI/Oの最適化など既存製品の特徴に加え、大容量のフラッシュ全体にわたる高い性能とミリ秒未満の遅延(レイテンシ)を保証すると説明。すべてのストレージアクションがVM単位で可能となり、あらゆるVMを管理、複製、自動化、分析してストレージをシンプルにするとしている。

 ティントリのオールフラッシュアレイとハイブリッドフラッシュアレイは共通のOSによるVM最適化を共有しており、ワークロードのバランスを保つとともに、1つの管理GUIを通して管理できる。

 T5000の場合、内部バスに「Non-Transparent Bridge(NTB)」を採用している。NTBは、冗長化されたコントローラのプロセッサ間でI/Oを管理する。ハイブリッドのT800では、10ギガビットイーサネット(GbE)を活用しているが、T5000では、コントローラ間を64GbpsのPCIeで通信させていることで、コントローラ通信のオーバーヘッドや遅延を最小限に抑えられるという。

 T5000ではまた、従来の不揮発性メモリ(Non-Volatile RAM:NVRAM)よりも低遅延なDIMMソケット用の不揮発メモリ(NVDIMM、システムコントローラからはDDRメモリとして認識される)を標準で搭載。システム全体の性能を向上させたとしている。

 インライン重複排除と圧縮を活用したデータ削減でフラッシュに書き込まれるデータの3~5倍の容量を節約。ユーザーが利用できる論理実効容量(インライン重複排除と圧縮を用いたデータ削減後の数値、シンプロビジョニングの効果は含まず)はT5080(実効容量14.3Tバイト)で最大73Tバイト、T5060(同7.3Tバイト)で最大36Tバイト。

 T5000の主な適用事例としては、テラバイト級のデータベースファームや大規模なデータウェアハウス、ビッグデータ解析、3D CADのような大容量かつ高速性が必要なハイエンド用途向け仮想クライアントを想定。より高いVM集積度が求められる場合も想定している。

 メジャーバージョンアップしたTintri OS 4.0は、ハイブリッドシリーズとオールフラッシュシリーズを共通のOSでサポートする。統合管理ツールの新版となるTGC 2.1では、両者が混在する環境でも単一ビューで監視でき、1システムあたり最大16万台のVMを稼働させられる。

 大量のフラッシュが必要なVMを特定してオールフラッシュシリーズに移動でき、今回のバージョンではQoSも含めたサービスグループの設定も可能となり、複数の仮想マシンを一つのポリシーグループにまとめることで容易にQoSを管理できるという。

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