新製品は英語版から投入
そこで、これからの新製品は英語版から発売する。開発チームも外国人で構成し、ロンドンに画面デザイン、香港にロジック開発をそれぞれ配置。14年7月に設立したシンガポールの現地法人が企画、開発のハブとしての役割を担う。
世界で使ってもらえる製品企画に必要な情報を収集するため、平野社長は1カ月のうち3週間はシンガポールに滞在する。「シンガポールにはいろんな国から人が集まり、新しい発想が生まれる」。
開発中の製品は、データ連携ソフトウェア「ASTERIA」と、モバイルコンテンツ管理ソフトウェア「Handbook」の次世代版である。現在の日本仕様製品よりシンプルな機能で、ビジネスユーザーが容易に使えるクラウド版にする。使い勝手を向上させて、モノへと広がるIoT時代に対応したものにする。企画開発を加速させるために、14年度に約8億円の資金を調達。インドネシアのクラウドサービス会社などにも出資した。
一方、クライアント/サーバ向けに開発した既存のASTERIAとHandbookは、日本市場のニーズに応えながら、もっと稼げる製品に成長させる。それぞれの市場でナンバーワンのシェアを獲得し、ASTERIAの累計ユーザー数は5066(15年6月)とHandbookの累計導入件数は864(同)と着実に増やしている。
平野社長は「5年後も、当社はデータをつなぐ会社。つなぐ対象が国内から世界へ、コンピュータからモノへと広がっていく」と語り、世界で活躍しているソフトウェア企業に成長している姿を想像する。

- 田中 克己
- IT産業ジャーナリスト
- 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。