ソラコムは9月30日、モノのインターネット(IoT)基盤「SORACOM」を発表した。同日からIoTデバイス向けモバイルデータ通信サービス「SORACOM Air」、データ転送支援サービス「SORACOM Beam」の提供を開始した。
SORACOMは、NTTドコモとの仮想移動体通信事業者(MVNO)契約を締結し、NTTドコモの基地局を利用するIoT基盤。パケット交換、回線管理、帯域制御などのモバイル通信のコアネットワークシステムと顧客管理、課金などのサポートシステムを、Amazon Web Services (AWS)上に実装している。
SORACOMのパケット交換機能は、大量のIoTデバイスからデータが飛んできても 、信頼性と拡張性を持つよう設計されている。そのAWS上のパケット交換機能を、NTTドコモのモバイルネットワークと接続し、モバイルデータ通信とクラウドを一体化しているという。

IoT基盤「SORACOM」
SORACOM Airは、データ通信SIMを提供するIoTデバイス向けモバイルデータ通信サービス。データ通信SIMは、ナノ・マイクロ・標準の3種類、それぞれデータ通信のみと、SMS機能ありの2種類、計6種類を提供する。ユーザーはデータ通信SIMを購入し初期投資を抑え、1日10円からの従量課金で利用できる。SIMをIoTデバイスに挿入し、ウェブブラウザもしくはAPIから、通信速度の変更、通信の休止や再開、通信の監視、イベントに応じた処理の設定などを操作できる。SORACOM Airは、9月30日からAmazon.co.jpにて販売開始されている。

SORACOM Air
SORACOM Beamは、データ通信SIMを搭載した IoTデバイスやタブレット、スマートフォンから得たデータに、認証や暗号化、プロトコル変換などを施して転送支援する高機能なサービス。
これまで、コンピュータ資源が比較的限られたIoTデバイスでは、暗号化などの高負荷処理を実施したり、認証情報を事前に設定したりすることは、IoTシステムの構築や運用の難易度を高めていた。AWS上で稼働するSORACOMで準備されているコンピュータ資源を有効活用できるため、IoTデバイス側に負担をかけることなく、SORACOM側で、暗号化、プロトコル変換、オンプレミスのサーバやクラウドサービスへの転送が可能となる。
例えば、無数のセンサからデータを転送する際に、IoTデバイスから安全にデータを収集・格納し、グループごとに、通信先の設定などのSIMの設定を一括処理、管理できるとした。
さらに、SORACOM基盤はAWS上で動いているため、SORACOM Beamからのデータを直接AWS上のサービスを利用して処理できる。これまでは、IoTシステムを構築するにあたり、デバイス、通信、インフラと別々に用意する必要があった。SORACOM Beamを用いると、セキュアなIoTシステムをAWS上で構築できるとした。

SORACOM Beam
2014年のGartnerの調査では、IoTデバイスの数は2015年には、2014年比30%増の49億個、2020年には250億個になるとも言われるが、IoTデバイスから取得したデータを、インターネットを経由してサーバやクラウド上で処理するIoTシステムの構築のためには、IoTデバイスとサーバとの経路をつなぐ通信ネットワークが必要である。
しかし、無線LANや有線LANは、場所の制約や設置コストが高い。一方、場所を選ばずに通信でき、設置コストのかからないLTE/3G回線を利用したモバイル通信ネットワークは、利便性は高いものの、初期投資、通信費のコストが高く、柔軟な契約が難しいなどの課題があったため、SORACOMを打ち出したという。