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攻めのITに必要なのはエンジニアの解放--ウルシステムズ漆原社長 - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2015-10-15 18:21

――日本企業のIT部門は、実際にどのような課題を抱えていると感じているか。

 「守りのIT」が中心になっていることに課題を感じます。ITを業務効率化の側面で考えた場合、売り上げに貢献する「攻め」とシステムを保守する「守り」の2つの役割があると思います。どちらも大事だと思いますが、私たちが価値を出せるのは「攻め」のIT――戦略的ITという呼び方をしています。IT部門が経営に貢献できる分野です。

 IT部門はこれまでコストセンターでしたが、それがプロフィットセンター化すればいいわけです。「このITのおかげで儲かる」とか「利益が上がってる」という具合に。もちろん、会計システムなども大事ですが、そこはクラウドサービスなどでアウトソース化されていくと思います。

 プロフィットセンター化して攻めのITを推進するという考え方は以前からありましたが、専任でやることが難しいことと、経営側が本腰を入れてこなかった。「攻めのIT」を理解していればIT部門は内製化が進むでしょうし、攻めのITに役立つようなスキルを持ったSEを採用しようとするはずです。それをしていないのは、経営側の意識が追いついていないことと、受注側の意識がマヒしている部分があると思います。アウトソースの方が楽ですし儲かりますから。

 本当は、現場のSEが一番そういう攻めのITをやりたがっていますが、難しい。一方、少しずつ変わってきてるという実感はあります。まず、事業会社がITの重要性に気付きはじめました。ITがわかる人が増えてきましたし、そういう人を採用しよう、育てようという気運が、少なくとも業績がよい企業には増えてきていると感じています。

 また、技術力の高いエンジニアの需要が高まっており、SEも「企業への所属にこだわる必要はない」と思い始めています。そのため、エンジニアはネット業界に転職するなどキャリアパスとして重要ではないと感じたら別のところで自らを磨こうというケースが増えてきました。

 テクノロジ面でもクラウドやビッグデータなどイノベーションが本格的に起き、安くシステムを構築、運用できるようになってきています。以前は「やりたいけどリスクが高いしコストもかかる」と二の足を踏んでいたことが比較的容易に実現できます。

――経営者や事業者側がITに価値を見出してきた要因は。

 まず、守りのITを一通りやり尽くしたことです。そして競争環境が激化という要因があります。今までは競合と思っていなかった企業が、グローバル化を背景に違う場所や業種から出てくるようになりました。そこでビジネスをスケールしようと考えたら、やはりITの力が大きいですよね。それだけITの適用範囲が広がってきたわけです。

 そうしたことを背景に、大企業でSEが輝けるシーンが増えています。現場の一人ひとりのSEが真価を発揮できるプロジェクトが多くなり、評価されています。SEにすれば、「自分がプロジェクトを動かしている」という実感があるわけです。これまでは誰かに言われたことをひたすらやっていたわけですから、モチベーションが違います。

 そうなると、SE一人ひとりのスキルが本当に重要になっていて、デキる人とそうでない人の差が極端なくらい出始めています。優秀なSEが数人いるだけでガラッとプロジェクトが変わるシーンをたくさん見てきました。優秀な数人により、300人のプロジェクトが見違えるようになる。それは、発注側で仕事をしているからできることなのです。

 例えば、ウルシステムズでは全日空の国内線向け予約システム「ANA Sky Web」を作りました。これはホームページに見えますが、基幹業務システムです。インメモリ技術 をふんだんに使っていて、2ミリ秒(ms)で空席検索によりチケットを買うことができます。世界最大規模のEチケッティングシステムで、5000億円を超える売り上げを担っています。

 5000億円の売り上げを1回のプロジェクトで叩き出せるのがエンタープライズITのすごさであり、面白いところなのです。

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