CEATEC JAPAN 2016

リアルタイム性が重要になってくる--NEC遠藤社長がCEATECで語ったICTの力

大河原克行 2015年10月08日 16時09分

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 10月7~10日の4日間、千葉市の幕張メッセで開催されているITとエレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2015」の開催初日、NEC代表取締役執行役員社長の遠藤信博氏が「“Orchestrating a brighter world”~IoTを活用した豊かな人間社会~」をテーマに基調講演に登壇した。遠藤氏は、CEATECの主催3団体のうちのひとつである一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)の会長を務めており、講演の内容は、その立場からも言及するものとなった。

 遠藤氏は、「コンピューティングパワー、ネットワーク、ソフトウェアという3つのICTの力によって社会に価値を提供し、貢献していく必要がある。また、新たな社会基盤を作る必要がある」などと語りながら、地球が抱える課題について触れた。

遠藤信博氏
NEC 代表取締役執行役員社長 遠藤信博氏

 遠藤氏は「今から35年後の2050年には地球の人口が90億人となり、そのうち都市に住む人が68億人と現在の1.8倍、全体の7割を占めるようになる。最もエネルギーを消費するのが都市。35年後にエネルギーは1.8倍必要になり、食糧は1.7倍、水需要が1.6倍必要になる。これらはすべて地球から生み出されるもの。公平性を保ちながら、活用するにはどうしたらいいのかということを考えなくてはならない」と将来の課題を挙げた。

 続けて遠藤氏は「日本の人口は60%にまで減り、人口は8000万人になる。言い換えれば、国の税収が60%になり、警察の機能が60%減ることになる。そのままで安全な社会が維持できるのか、既存の社会インフラが維持できるのか。これを解決するのがICTということになる。コンピューティングパワー、ネットワーク、ソフトウェアという3つのICTの力によって安全、安心、効率、公平が保たれる世界を作り上げる必要がある」とICTの役割を解説した。

 コンピューティングパワーでは、20年間でCPU性能が約500倍に進化、システム性能の向上が約57万倍に上昇してきたことを示しながら、「今後もこうした勢いで進化していくことになる」と予測した。ネットワークについては、光海底ケーブルの伝送容量が約2000倍になったこと、モバイルネットワークが約100万倍も高速化したことを示した。

 「自動車の自動運転の際、あるいはロボットの動作判断をセンター側で制御する場合には、さらなる高速化や低遅延化といったことが重要になる。これによってビッグデータやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の世界を実現することになる」

 遠藤氏はまた、「今後は、SDN(Software Defined Network)が不可欠なものになる。データ量の急激な増加にあわせて、ネットワークのダイナミクスさと柔軟性が求められる。これをコントロールするにはSDNが必要だ」との見方を示した。

 ソフトウェアの進化については、「世界中に存在するデータは、2020年には現在の10倍となる44兆Gバイトに増加する。データサイエンスの世界は、これまでの部分集合のデータから分析する演繹的なアプローチだけにとどまらず、全体データから相関関係を見出して、そこから価値を引き出す帰納的アプローチが中心になってくるだろう」という見解を明らかにした。

 「将棋ソフトは、この2~3年で高段者に勝てるようになったが、これは、すべての棋譜から判断する帰納的なアプローチによって実現したもの。これによって、ソリューションのあり方も変わってくるだろう。ビッグデータやIoTの活用も広がることになる」

リアルタイム性が重要になってくる

 遠藤氏は自社のスタンスとして「社会価値創造の7つのテーマを掲げており、都市構築のあり方、ライフラインの構築のあり方、コミュニケーションのあり方などに取り組んでいくことになる」と説明した。

 同社は、地球との共生を目指す「Sustainable Earth」、安全安心な都市と行政基盤を作る「Safer Cities & Public Services」、安全で高効率なライフラインを生み出す「Lifeline Infrastructure」、情報や知識を連鎖させる「Communication」、産業とICTが新結合する「Industry Eco-System」、枠を越えた多様な働き方を創造する「Work Style」、個々の人が躍動する豊かで公平な社会を実現する「Quality of Life」という7つの領域で社会価値創造に取り組んでいく姿勢を示している。

 「Orchestrating a brighter world」というスローガンを掲げていることにも触れた。「Orchestratingには、人間と深く関わり、クロスコミュニケーションを取ることで価値創造を目指すという意味を込めた。そして、brighter worldでは明るい、スマート(賢い)という2つの意味を持たせた。スローガンの前にあるデザインはタクトをイメージ。そして、23.4度の角度にしているのは地軸を意味している。グローバルに貢献するという意味を込めた」とスローガンに込めた意味を説明した。

 続けて遠藤氏は、「ICTが基本的に達成できる機能は3つある」と前置きし、即時対応ができる「リアルタイム性」、集まったデータをすぐにソリューションとして提供できる「ダイナミック性」、どこでも誰でもがサービスを受けられる「リモート性」の3つを挙げた。

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