CEATEC JAPAN 2016

リアルタイム性が重要になってくる--NEC遠藤社長がCEATECで語ったICTの力 - (page 2)

大河原克行

2015-10-08 16:09

 「特にリモートというのは大変重要な要素。たとえば、リモートにより、教育やヘルスケアでは、そこにいかなくてもサービスを受けられるようになる。これによって、公平性を実現することができる。価値を創出する即時性、価値を創出する変化への対応力、空間の制限を超える力で安心、安全、効率、公平を実現し、7つの領域に貢献することになる」

 遠藤氏はIoTに関連して「ICTによる価値創造のプロセスは、リアルの世界からデータを集め、これをサイバー空間に取り込み、相関関係をとって分析し、サイバー空間で価値を作り、ソリューションとしてリアルな場所に戻すことになる。そのためには、サイバー空間がセキュアにものでなくてはならない」と主張した。

 「集めたデータをいかに情報というレベルに上げるか、データを見える化することで意味のあるものにするかが大切である。それを分析することで知識に近い形へと進化させる。そして、知識をもとにして、それを知性へと近づけていきたい。知性に近付くほど価値が上がる。ここで語っているのは、AI(人工知能)による知性ではなく、IoTによって知識から知性に近づくというアプローチである」

 ここで遠藤氏は「昨日の夜、寝る前に考えたのだが、ビッグデータとIoTとは、何が違うのだろうか」と疑問を呈示した。この疑問に対し遠藤氏は、「ビッグデータは過去のデータを指し、IoTは、リアルタイムにデータを集めるもの。そして、幅広いデータを集めるものになる」と位置付けてみせた。

 「ビッグデータとして蓄積したものをリアルタイムの別のデータとつなげることもIoTの役割。そこから何らかの判断をする。判断の精度を上げるためのひとつの手段がIoTである。ビッグデータの価値を上げるものがIoTになる」と定義してみせた。

1秒間に30万~40万件のデータを収集

 では、NECでは、コンピューティングパワー、ネットワーク、ソフトウェアという3つの要素にどう取り組んでいるのか。ここからは、同社の取り組みや事例などを紹介した。

 コンピューティングパワーでは、NECのデータセンターでマイクロモジュラサーバを導入し、設置スペースを5分の1、消費電力を4分の1としていること、相変化冷却ユニットの採用で空調電力を30%削減していることで効率的なデータセンターを実現していると説明。加えて、画像処理などに適しているベクトル型スーパーコンピュータ「SX-ACE」を開発し、海洋研究開発機構などに導入していること、東北大学との共同研究では、津波による浸水被害を予測していることなどを紹介した。

ベクトル型スーパーコンピュータのSX-ACE
ベクトル型スーパーコンピュータのSX-ACE

 「コンピューティイングパワーによって、さらにリアルタイム性を持った予知が可能になり、リアルタイムの価値を提供することができる」

 ネットワークでは、光海底ケーブルの敷設で地球5周分にあたる20万kmの実績を持っていること、小型マイクロ波無線通信システム「PASOLINK」が世界153カ国で累計250万台以上の導入実績を持っていること、ネットワーク機能仮想化(Network Funktions Virtualization:NFV)ソリューションを提供していることなどを紹介した。JR東日本は、東京駅構内でSDNを活用した「駅構内共通ネットワーク」を導入。機能追加や変更における作業負荷の軽減、工期の短縮などを実現している例を挙げた。

ネットワーク機能仮想化(NFV)はTelefônica Brasilが採用している
ネットワーク機能仮想化(NFV)はTelefônica Brasilが採用している

 ソフトウェアの観点では、同社が持つ認識技術の強みを訴求。顔認証技術では世界ナンバーワンであり、300万人を1秒間で認識し、人が歩いている状況で認証できること、不鮮明な自動車のナンバー画像を鮮明化し、ビッグデータ化したナンバープレート辞書とすり合わせることで、ナンバーを読み解くことができる技術、暗所で撮影した画像を鮮明化してノイズのない画像とすることで画像をもとに顔を認識するといった技術を説明した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]