程氏は江川氏について、「当社においてデジタル変革のリーダーを担ってきた。これから、さらにデジタル化が進む中で次の社長として最適任の人材だ」と高く評価。「繊細なバランス感覚も持ち合わせている」とも。
確かに江川氏の語り口からはバランスの良さを感じた。アクセンチュアに入社して今年で27年目。ちょうど50歳という同氏が、どのような経営手腕を発揮するか、注目しておきたい。
「スマートフォンによる物体指紋認証で偽造品対策を行えるようにした」 (NEC 山片茂樹 情報・メディアプロセッシング研究所長)

NEC 山片茂樹 情報・メディアプロセッシング研究所長
NECが先ごろ、工業製品・部品の表面に自然発生する微細な紋様(物体指紋)をもとに個体を識別し、真贋判定が可能な「物体指紋認証技術」を強化したと発表した。従来の金属の真贋判定に加え、樹脂・塗装など表面が多様な材質からなる商品の認識に対応したという。山片氏の冒頭の発言は、その発表会見で、スマートフォンを用いてこの技術が活用できることを語ったものである。
物体指紋認証技術は、人間の目では判別が困難な製品固有の紋様を、スマートフォンなど汎用カメラで撮影し、事前に登録した紋様の画像と照合することで、製品の真贋を瞬時かつ高精度に識別できるようにしたもので、NECの独自技術である。
今回の強化では、プラスチック樹脂や皮革など多様な材質の物体表面において、光沢や模様の濃淡など識別性の高い特徴を独自に抽出して認識する技術などを開発したという。これにより、特殊なタグなどがなくても、さまざまな商品の真贋判定を高精度に行えるため、低コストかつ効率的な模造品対策やブランド保護を実現するとしている。
今回強化された物体指紋認証技術は、先行的に米国大手ベビー用品メーカー「Ergobaby(エルゴベビー)」ブランドの抱っこひも新商品の偽造品対策に採用。この商品は日本限定仕様で、エルゴベビーの日本正規総代理店であるダッドウェイから日本国内で11月に販売開始されるという。
NECではダッドウェイへの提供をはじめ、今後、他業種も含めたブランド・製品・部品などに物体指紋認証技術を展開していく構えだ。また、さまざまな業界の偽造品対策活動とも連携し、この技術を用いた真贋判定をクラウドで提供することで、企業の効率的かつ効果的な偽造品対策を支援し、製品・部品の製造から流通・使用まで安全・安心の実現に貢献していきたいとしている。
同社は以前から、文字認識や指紋認識、顔認証といった画像処理技術に取り組んでおり、物体指紋認証技術はこれらの技術を物体の個体識別に応用したものとなる。「認証技術に強いNEC」は今やすっかり定着した感がある。今後の情報社会において不可欠な技術だけに、社会ソリューション事業に注力する同社としては常に先行したいところだろう。さらなる進化に注目したい。