「マーフィーの法則」(「失敗する可能性があるものは、失敗する」という法則)は、1949年にカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で生まれた。それ以来、この法則はIT分野で広く用いられるスローガンとなっている。マーフィーという名前は、空軍のプロジェクトに携わっていたエンジニアのEdward A. Murphy大尉にちなんでおり、同プロジェクトは墜落時における急激な減速に人体がどの程度耐えられるのかを研究するものであった。もはや伝説化している逸話によると、Murphy大尉はトランスデューサと呼ばれる機器の配線ミスを見つけ、その配線を行った技術者について文句を言った。「If there is any way to do it wrong, he'll find it.(誤りをしでかす余地があれば、彼はそれを見つけてしまう)」
IT分野に身を置いていると、マーフィーの法則には度々遭遇する。このため、IT技術者であれば、マーフィーの法則に立ち向かう術をノウハウとして持っておくべきだ。本記事では、IT分野における現代版マーフィーの法則として10の法則を紹介するとともに、それらの法則にはまってしまわないようにするための手段を解説する。
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#1:取締役会での「PowerPoint」プレゼンテーションは失敗する
会社の精鋭とも言うべきチームが用意した、製品や戦略に関するPowerPointプレゼンテーションが、本番で言うことを聞かなくなる。特に、あなたが最高情報責任者(CIO)であり、取締役会の場でIT戦略(そしてその戦略に必要となる予算)に関するPowerPointプレゼンテーションを実施している時にこのような事態が発生すると、とてもばつが悪いはずだ。このため、プレゼンテーションの実施にあたっては、配布可能なスライド資料を事前に用意しておき、いつでも使えるように準備しておいてほしい。これによってプレゼンテーションが遅滞なく進み、取締役たちの理解も得られるはずだ(彼らも同じような経験をしているはずだ)。
#2:大規模プロジェクトはたった1人の花形によってけん引される--そしてその人物は風邪を引く
この法則を避けるのは難しいが、プロジェクトのドキュメントを整備し(これにより他の担当者への引き継ぎが容易になる)、スキルを持った信頼できる外部コンサルタントを必要に応じて呼び出せるようにしておけば、問題は緩和されるはずだ。また、すべてのプロジェクト計画に非常時の計画を含めておくことで、作業のクリティカルパスと、重要なメンバー(そして彼らが不在の際に何ができるか)を洗い出せるようにしておいてほしい。