デジタル未来からの手紙

今そこにある未来--「スマートマシンファースト」が競争力の源泉に - (page 2)

林 雅之

2015-10-15 07:00

 これらの10の予測の中から、スマートマシンに焦点をあて、企業でのスマートマシンの活用の可能性と課題を整理する。

(1)2018年までに、ビジネスコンテンツの20%は、人間に代わってマシンが文章を書くようになる

 マシンが多くの情報を自律的に収集し、自然言語処理などによって、IRレポートや市場レポート、プレスリリースなどのビジネスコンテンツにつくりあげていくだろうとしている。

 マシンには、人間のような先入観や感情的な内容を入れることがないため、データにもとづく客観的な情報のアウトプットができ、読者である人間は、将来的には、人間が書く記事よりもマシンが書く客観性の高い記事に対して、信頼をおくようになるかもしれない。

(3)2020年までに、人間の制御の範囲外にある自律型のソフトウェアエージェントが、すべての経済取引の5%を処理するようになる

 Gartnerでは、自律型のソフトウェアエージェントが経済活動に参加し、取り引きする経済活動を「プログラマブル経済(programmable economy)」と呼んでいる。これらの経済活動は、銀行や保険、証券、クラウドファンディングなどの既存の金融サービス業を混乱させる可能性も指摘している。

 近年、FinanceとTechnologyを組み合わせた金融とITの組み合わせによる新しいサービスを示す造語「FinTec(フィンテック)」に対する注目が集まっており、スタートアップ企業などもFinTecの領域のビジネスに参入しているケースも増えている。

 金融サービス業は、自律型のソフトウェアエージェントの経済活動への参加と、FinTecの関連ビジネスの事業領域拡大により、新たな金融サービスを生み出し、金融業界の勢力図を変えていく可能性もあるだろう。

(4)2018年までに、世界の300万人以上の労働者がロボット上司の管理下に置かれるようになる

 ロボットの上司が、これまで人間の管理職が任されてきた意思決定を担うようになり、その評価は、パフォーマンスの測定や成果物、そして顧客からの評価により判断するという。

 スマートマシンは、データに基づいた客観的な評価はできるが、その一方で、人間のような道徳観や常識などが欠如しているため、ロボットの上司に管理される労働者が納得する評価を得るには、さまざまな検証が必要となるだろう。

(6)2018年までに、新興企業の45%は、社員よりも多くの簡単に複製可能なスマートマシンを所有するようになる

 スマートマシンは、特定の業務に対応し、スマートマシンの複製による業務の急激な事業拡大にも対応できる。このためスタートアップ企業などは、事業の即応性やコスト削減、商品の改善などの業務のために、人間よりもスマートマシンを採用するケースが増えていくという。

 企業は、事業の拡大にともない人出不足が深刻になった場合、事業に適した人間を採用して時間をかけて人材を教育する必要があるが、スマートマシンの場合は、簡単に複製して事業を拡大できることが、大きなメリットだとしている。

 工場での製造や小売業などにおいて、人間の雇用はスマートマシンに置き換えられていくという予測があるが、スタートアップ企業などが新しいビジネスを展開していくにあたって、人間に代わってスマートマシンが重要な役割を果たす可能性も高いだろう。

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