米ZDNet編集長Larryの独り言

EMC買収で巨大化するデル--その狙いと今後の課題 - (page 3)

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-10-15 06:00

見えている情報をまとめてみると・・・

 DellとEMCの合併発表において、財務の見通しが公表されなかったという点については、ここで述べておく必要がある。通常であれば、売上高の見通しや相乗効果の可能性に関する情報が公表される。EMCとVMwareの幹部らは財務について語ってくれた一方、Dell氏は電話会議自体に出席しなかった。

 Dellは非公開企業であるため、同社の売上高に関する詳細な説明はなかった。

 JefferiesのアナリストJames Kisner氏はいくつかのシナリオをモデル化し、合併後には売上高が740億〜765億ドルになると見積もっている。この見積もりはVMwareの部分的な分離を前提にしており、子会社連動株式の配分と同様のかたちになる可能性がある。

 また、買収後の企業における売上高の約5%が研究開発費となるだろう。Kisner氏の試算によると、債務合計は500億〜530億ドルの範囲になるという。こういった債務が今後、懸念を呼ぶかどうかについては現段階では分からない。

 今回の発表と同時に、EMCとVMwareの両社は第3四半期の業績概要を明らかにした。

 EMCは第3四半期における非GAAPベースの売上高が60億5000万〜60億8000万ドル(1株あたり43セント)になる見通しだと述べた。この数値は、62億4000万ドル(1株あたり45セント)というアナリストらの期待を下回っている。

 しかしEMCは、受注したもののまだ出荷していないストレージ製品があるとコメントしている。これらの製品の売上高は第4四半期に計上される。第3四半期に計上できなかったことで、売上高は1株あたり2セント減少したという。

 その一方でVMwareは12日、第3四半期の業績見通しを引き上げ、親会社であるEMCがDellとの合併準備に入ったとしても事業継続が可能であることをアピールしている。

 同社は第3四半期の非GAAPベースの売上高が前年同期比10%増の16億7000万ドル(1株あたり1.02ドル)になる見込みだと発表した。最高財務責任者(CFO)のJonathan Chadwick氏によると、VMwareはこの結果に満足しており、売上高は恒常為替レートで14%の増加になるはずだという。VMwareの第3四半期における純利益は1株あたり約60セントになる見込みだ。

 アナリストらは非GAAPベースの売上高が16億6000万ドル(1株あたり99セント)になると予想していた。

 EMCとVMwareの業績見通しを見た場合、合併後の企業はストレージ分野の低い成長率に対処しながら、ソフトウェア定義データデータセンターのライセンス収入に頼って売上高の増加を図ることになる。EMCの買収に向けたDellの真意は結局のところ、VMwareによる価値の創出にあるのかもしれない。

 幹部らによると、DellはVMwareの持つ経済的利益を時間をかけて得ていこうとしているという。

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