見えている情報をまとめてみると・・・
DellとEMCの合併発表において、財務の見通しが公表されなかったという点については、ここで述べておく必要がある。通常であれば、売上高の見通しや相乗効果の可能性に関する情報が公表される。EMCとVMwareの幹部らは財務について語ってくれた一方、Dell氏は電話会議自体に出席しなかった。
Dellは非公開企業であるため、同社の売上高に関する詳細な説明はなかった。
JefferiesのアナリストJames Kisner氏はいくつかのシナリオをモデル化し、合併後には売上高が740億〜765億ドルになると見積もっている。この見積もりはVMwareの部分的な分離を前提にしており、子会社連動株式の配分と同様のかたちになる可能性がある。
また、買収後の企業における売上高の約5%が研究開発費となるだろう。Kisner氏の試算によると、債務合計は500億〜530億ドルの範囲になるという。こういった債務が今後、懸念を呼ぶかどうかについては現段階では分からない。
今回の発表と同時に、EMCとVMwareの両社は第3四半期の業績概要を明らかにした。
EMCは第3四半期における非GAAPベースの売上高が60億5000万〜60億8000万ドル(1株あたり43セント)になる見通しだと述べた。この数値は、62億4000万ドル(1株あたり45セント)というアナリストらの期待を下回っている。
しかしEMCは、受注したもののまだ出荷していないストレージ製品があるとコメントしている。これらの製品の売上高は第4四半期に計上される。第3四半期に計上できなかったことで、売上高は1株あたり2セント減少したという。
その一方でVMwareは12日、第3四半期の業績見通しを引き上げ、親会社であるEMCがDellとの合併準備に入ったとしても事業継続が可能であることをアピールしている。
同社は第3四半期の非GAAPベースの売上高が前年同期比10%増の16億7000万ドル(1株あたり1.02ドル)になる見込みだと発表した。最高財務責任者(CFO)のJonathan Chadwick氏によると、VMwareはこの結果に満足しており、売上高は恒常為替レートで14%の増加になるはずだという。VMwareの第3四半期における純利益は1株あたり約60セントになる見込みだ。
アナリストらは非GAAPベースの売上高が16億6000万ドル(1株あたり99セント)になると予想していた。
EMCとVMwareの業績見通しを見た場合、合併後の企業はストレージ分野の低い成長率に対処しながら、ソフトウェア定義データデータセンターのライセンス収入に頼って売上高の増加を図ることになる。EMCの買収に向けたDellの真意は結局のところ、VMwareによる価値の創出にあるのかもしれない。
幹部らによると、DellはVMwareの持つ経済的利益を時間をかけて得ていこうとしているという。