Watson Developer Cloudのカタログには、各サービスのサービスAIへのリンクや、サンプルコード、実際に動作するデモなどが掲載されている。アプリケーションはBluemixの(ウェブまたは「Eclipse IDE」の)ツールを使って作成される。一連のコマンドラインツールを使えば、Cloud FoundryでWatsonのAPIを使用することもできる。またNode.jsのツールも、Watsonのサービスをマイクロサービスウェブアプリケーションで簡単に利用できるようにしてくれる。
Watsonはタスクを中心とした考え方を取っているため、他の機械学習サービスよりも柔軟性は低いが、AIをコードに組み込むためのプロセスは確かに簡単だ。
機械学習に対して、自然言語処理やテキスト分析を中心とした、他のサービスとはまったく異なるアプローチを取りたい場合は、Facebook AI Research(FAIR)の成果を利用する方法もある。FAIRはオープンソースの機械学習プラットフォーム「Torch」を利用し、GPUコンピューティングによって、ニューラルネットワークの構築と実行のプロセスをスピードアップし、畳み込みニューラルネットワークの利用範囲を拡大した。Torchはかなりアカデミック寄りのAIツールだが、画像やテキストを分析し、非構造化データから素早く意味を抽出するためのツールを設計するのに役立つ。
FAIRのオープンソースツールは、AI分野での次の技術的飛躍を目指す、Microsoft Researchの画像認識深層学習プロジェクトである「Project Adam」のような取り組みと比肩すべきものだ。Project Adamの成果として、すでにリアルタイムで話し言葉の認識と翻訳を行う「Skype Translator」などのサービスが出てきており、Microsoft Researchの「Project Oxford」のAPIを使ってこれらのツールを利用できる。すでに顔認識、音声認識、コンピュータビジョン(および招待者のみ利用できる自然言語処理サービス)などのツールが利用可能だ。
将来の展望
機械学習のテクノロジは、すでにクラウドサービスの計算力とAPIベースのサービス開発モデルを基盤とする一般的なツールになった。RESTful APIが利用できるため、アプリケーションにも追加しやすく、一般的なクラウドストレージプラットフォームと統合されているため、トレーニングもしやすい。また、クラウド型の価格体系になっているため、経済的に利用できるという利点もある。これらのツールを使うことで、アプリケーションに予測的アナリティクスの機能を追加することは十分に現実的な選択肢になった。特に、個人に合わせたサービスを提供したり、例外的なイベントを検知したりしたい場合には効果的だ。
数年前にはSFのように思われていたことが、今ではごく一般的で、使いやすいものになっている。AI研究は、多くの企業で研究開発の中核の1つに据えられており、今後の展開には期待できると考えていいだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。