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松岡功の一言もの申す

新たなステージに入った基幹系システムのクラウド利用

松岡功

2015-10-15 12:00

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)がSAPジャパンなどと協業し、基幹系システム向けに特化したクラウドサービスを提供すると発表した。この動きは、基幹系システムのクラウド利用が新たなステージに入ったことを象徴しているといえそうだ。

高まってきた基幹系システムのクラウド化ニーズ

 CTCが10月9日、SAPジャパンおよび米Virtustreamと共同で、2016年4月から基幹系システム向けに特化したクラウドサービス「CUVICmc2」の提供を開始すると発表した。


左から、SAPジャパンの福田譲社長、CTCの菊地哲社長、
米VirtustreamのRodney Rogersチェアマン兼CEO、CTCの大久保忠崇CTO

 CUVICmc2は、パフォーマンスやセキュリティの面で世界的に定評と実績のあるVirtustreamのIaaS技術をベースに、SAPが提供するインメモリプラットフォーム「SAP HANA」や最新ERP「SAP S/4HANA」を中心として、CTCの堅牢なデータセンターから提供されるクラウドサービスである。

 基幹システム向けに特化していることから、安定性やセキュリティに重点を置く一方、実使用量に基づく従量課金型のクラウドでコスト削減ニーズに対応したのが特長としている。

 CTCの菊地哲社長は発表会見で、「日本企業の基幹系システムはまだオンプレミスが中心だが、ここにきてクラウドへの移行を検討する風潮が高まってきている。今回の新サービスはそうしたニーズにお応えするものだ。3社で力を合わせて、基幹系システムのクラウド化という流れの先頭に立って事業を推進していきたい」と力を込めて語った。

 また、SAPジャパンの福田譲社長も、「今後、SAPのERPはクラウド上でHANAを基盤として、ビッグデータやIoT(Internet of Things)といった情報系システムと共存した仕組みになり、お客様のデジタル変革を推進していくものになる。今回の新サービスは、それを実践していくものとして非常に意義があると確信している」と述べた。


3社の役割

有力パートナーが担ぐSAP S/4HANAの勢いに注目

 CUVICmc2の詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではこの新サービス上でも今後メインのSaaSになっていくであろうS/4HANAをめぐる最近の動きに注目したい。

 S/4HANAは、SAPが今年2月に発表したERPの最新版である。その内容については、2月10日掲載の本コラム「SAPの新ERPが示唆するSaaS時代の到来」でも触れたが、目を見張るのはS/4HANAをビジネスとして手掛けるパートナー企業の錚々たる顔ぶれだ。

 富士通、日立製作所、NEC、日本IBMといった4大システムベンダーをはじめ、大手のシステムインテグレータやコンサルティング会社がこぞって名を連ねている。

 そうした中で、今回はさらに大手システムインテグレータの1社であるCTCが、Virtustreamの新たな技術を取り入れて差別化を図った新サービスを打ち出した格好だ。

 S/4HANAはその名が表すようにHANAと一体化した次世代のERPである。そのパートナー企業の顔ぶれを見れば、着実に幅広く普及していくのは間違いないところだ。こうした状況を踏まえると、基幹系システムのクラウド利用が新たなステージに入ったといえよう。

 例えば、5年後の2020年にS/4HANAが基幹系クラウドにおいてどれだけのシェアを獲得しているか。ユーザー企業のデジタル変革に向けた利用状況においても、IT業界の勢力図の変化においても、非常に興味深いところである。

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