学生時代にプログラミング経験なし--中途エンジニア T・Hさん(エンジニア7年目)の場合
理系科目が苦手で、エンジニアになる前は営業職に従事してたというT・Hさん
大学では民俗学を専攻していて、プログラミングとは無縁の世界にいました。それどころか、数学と理系が大嫌いな、典型的な文系だったんです。父がシステムインテグレーターでエンジニアをやっていましたが、特に仕事の話を聞いたこともなく。とりあえず忙しそうな仕事だなというイメージしかありませんでした。
最初に就職したときには、新聞の求人広告の営業をやっていたのですが、どうしても耐えられない部分があり、1年3カ月くらいで辞めることにしました。とはいえ、営業以外に何をやりたいのか思いつかなくて…。そのとき初めて、父の仕事であるプログラミングをやってみようと思い立ち、Javaの本を1冊買ってきたんです。それをやってみて、できそうかどうか判断しようと。
いざ、プログラミングをやってみたら、これならできるかなと手応えを感じて。エンジニア職で転職先を探して、システムインテグレーターに就職しました。スタートが遅かったので、遅れを取り戻せるのか不安はありましたが、SI系のシステム会社やソフトウェアハウスのなかには、中途や第二新卒の未経験者でも、1カ月くらい研修してくれるところがたくさんあったので、ありがたかったですね。
文系エンジニアなので技術ではなく“判断力” で勝負
それからシステムインテグレーターで5年ほどエンジニアとして働きました。しかし、仕様書の作成や要件定義にかなりの時間をかけるので、実際に手を動かして開発する時間が極端に短いことが気になってきました。新しい技術を使えばもっと効率的にユーザビリティの高いモノづくりができるのにというジレンマもあり、ウェブ業界に移ることを決め、ウェブメディアの企業に入社しました。
歳を重ねてもとがったエンジニアとしてスペシャリストになれる人は、全体の2割くらいじゃないですかね。僕は完全にゼネラリストタイプなので、今はマネジメントがメインになっています。やはり後発組の文系エンジニアが、経験のある理系エンジニアに、技術力で勝つのは難しい。その分、幅広い知識から今求められている最適解を導き出せる“判断力”が武器になると思っています。
自分の頭で考えて決断していくのも、プロジェクトに与える影響が大きくて楽しいですよ。20代後半くらいが、どちらの道に進むか決められる最後のタイミングじゃないかなと思います。
まとめ
「自分の作ったモノを、世界中の人に使ってもらえるかもしれない」。それが手の届かない夢物語ではなく、少し手を伸ばせば届くかもしれない“リアルな夢”となった今、エンジニアになる若者が増えているのは、必然なのだろう。
文字を読み書きするのと同じレベルで、プログラミングが当たり前のスキルになる時代も、そう遠くはないのかもしれない。