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鉄鋼株の決算プレビュー--その2

ZDNet Japan Staff

2015-10-16 11:30

 鉄鋼業の今期(2016年3月期)業績見通しが悪化してきている。これから始まる9月中間決算で、鉄鋼業では業績見通しを下方修正する企業が増えると考えられる。

 ただし、株価は、業績悪化を織り込んで、先に下落しており、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などの指標から見て割安になっている。こうした環境下、鉄鋼株の投資をどう考えるべきか、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏が解説する。

中国発の鉄鋼不況が世界に広がる

 世界的な鉄鋼不況の震源地は中国だ。中国は、鉄鋼製品の巨大な需要国であり生産国だ。中国で需要が伸び悩む中で、生産拡大が止まらないことが世界的な供給過剰を招いている。

 中国の国営企業は鉄鋼市況が下落しても、なかなか鉄鋼増産をやめない。資本主義国の民間の鉄鋼企業ならば、鉄鋼市況が悪化する局面では減産する。ところが、社会主義国の国営企業は、そうした経済原理を無視して動く傾向がある。無謀な増産を続ける国営企業に金を貸しているのがまた国営銀行のため、融資を絞るなどの方法で増産に歯止めをかけることがあまりない。

 中国は、国内で余った鉄鋼製品を減らすため、安値で輸出攻勢をかけてきている。それが世界の鉄鋼市況を下落させている。

中国発の鉄鋼不況の影響を受けにくい新日鐵住金とJFE HLDG

 過去の世界的な鉄鋼不況の時の収益変動を見ると、日本の高炉(鉄鉱石から一貫生産する鉄鋼メーカー)の中で、新日鐵住金(5401)とJFE HLDG(5411)の2社は、海外の鉄鋼不況の影響を相対的に受けにくいといえる。

 この2社は、技術力で差別化ができている。中国メーカーが作ることができないハイエンド・スチール(自動車・家電製品向け)の生産比率が7~8割と高いため、中国が安値品で輸出攻勢をかけてきても、直接の影響は受けにくくなっている。中国製品と競合する汎用品(建設資材)についても、近年は、円安(人民元高)が大幅に進んだことで、日本国内では中国からの安値品流入は少なくなってきている。

 ただし、日本の高炉メーカーにとって重要な輸出先である東南アジアでは、中国の安値輸出の影響を受ける。東南アジアでの市況下落の影響で日本の高炉メーカーの輸出採算は悪化している。

 日本の高炉メーカーは、中国増産のあおりを受け、上半期は5~10%程度の減産を余儀なくされた。その影響で、新日鐵住金(5401)とJFE HLDG(5411)の今期経常利益は経常減益となる可能性が高くなっている。

 問題は下期だ。下期に日本の自動車向けの鋼材出荷が増加すれば、生産を通常レベルに戻す可能性もあり得る。下期の生産について会社はどう考えているか、9月中間決算発表時に会社の考え方を聴取することが大切だ。

新日鐵住金とJFE HLDG連結経常利益(市場予想)


(出所:市場予想は10月15日時点のIFISコンセンサス予想)

神戸製鋼所はすでに今期業績予想を下方修正--中国景気悪化の影響が大きい

 9月26日に神戸製鋼所(5406)は、今期(2016年3月期)の連結経常利益の見通しを、前年比マイナス7%の950億円からマイナス36%の650億円に下方修正した。同社発表によると、下方修正の要因は主に以下の3点だ。

  1. 景気減速の影響が大きい中国で、油圧ショベルの需要が想定を下回る
  2. 加古川製鉄所における一過性の生産トラブルによる生産量の減少、それに伴う保全費などのコスト増加が見込まれる
  3. アルミ・銅事業部門において地金価格の下落に伴い在庫評価影響が悪化することが見込まれる

 まとめると、神戸製鋼所(5406)は、中国景気悪化の影響を受けて、建設機械や銅・アルミ事業の収益が悪化した影響を大きく受けた。高炉(鉄鋼)事業の収益見通しも悪化しているが、それは一過性の生産トラブルによるもので、今のところ、中国景気悪化の影響が損益を直撃しているわけではないようだ。

 新日鐵住金(5401)やJFE HLDG(5411)は、建設機械や銅・アルミ事業を持たないので、神戸製鋼所(5406)ほどの大きな下方修正はないと予想される。まずは9月中間決算発表の内容を見極めることが必要だが、下方修正幅が小さく、下期にかけて生産が持ち直す見通しが発表されれば、株価は反発すると思われる。

 あくまでも、9月中間決算発表前の判断だが、中国景気悪化の影響が大きい神戸製鋼所(5406)への投資は避け、今は新日鐵住金(5401)とJFE HLDG(5411)の2社に投資を絞ったほうが良いだろう。

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