紫関氏 今、あらゆる産業がテクノロジカンパニーに変わろうとしていると思っています。ITを使うことによって、たとえ製品そのものの本質が変えられなかったとしても、ユーザーエクスペリエンスは画期的に変えることができます。そのユーザーエクスペリエンスの優劣こそが、企業の強さに影響してくると思っています。そのためには、日本の企業にもっとアグレッシブになってもらいたいと思っています。
米国や欧州では、CIOやIT部長は「これで失敗してクビになっても仕方ない。でも成功したら転職して、次のところでいい給料をもらう」という感じで射幸心が強いと感じます。そういう人たちが日本の企業の競争相手であり、あまり守りに入ってはいけないと思います。今まで競争相手と思っていなかったようなところと競争になるということが、どんどん起きてきます。もっとリスクテイクをして、日本はサービスのおもてなしのところが非常に強みで、これは世界に通じるものです。それを、人がするのではなくITにサービスさせるような、原動力になっていただけたらいいと思います。
林氏 紫関さんと似ていますが、ある調査で「3年後にどういうクラウドを活用していきたいか」という質問に対して、「イノベーションに活用していきたい」や「新たなビジネスを生み出していきたい」など、攻めの姿勢が目立つようになっています。これまでのコスト削減目的ではなく、攻めのクラウド活用をどんどんしていただきたいと思います。
各務氏 まず現場の技術者に対して、自分が何をやりたいかという志を、小さいものでいいからちゃんと作って、それを達成するように取り組んでほしいと思います。特に変化の時は成功する確率が高いと思います。それをチャンスとして、成功体験を積んで、レベルを上げてほしいです。
それから、IT部門のリーダーにお願いしたいことは、各メンバーのペルソナ、パーソナリティをもっと理解して、もっと彼らのエンカレッジ、エンパワーするスキルをつけてほしいと思います。その両面が合わさって初めて、担当者が成長すると思います。その両方をお願いしたいと思います。
巨勢氏 ITとはちょっと違いますが、日本の良さはなかなか世界に理解されていないと思っています。日本のきめ細かさや品質に対する考え方は、全世界に誇れる、すごいものだと思います。ただし、それ故に保守的になりがちで、今のグローバルなクラウドを使いこなしたスピード感に乗れない。日本がいいところを持っているのに、なかなかグローバルに活躍できる状況に巡り会えないっていうのが多いんじゃないかなと思います。
ぜひクラウドをうまく活用していただきたいという想いが非常に強いです。なおかつ、グローバリゼーションに対して日本の企業の方々にもっともっと前向きになってもらいたいと思っています。その状況で、外資の日本支社の人間をうまく活用していただくことも、ユーザーとベンダー、もしくは事業者との新しい関係、リレーションシップにもなり得ます。そういう形でわれわれを活用していただければとてもありがたいと思います。
――本日はありがとうございました。