契約の見直しや移行が進み競争が激化、顧客満足度を把握せよ
ノキアソリューションズ&ネットワークス、技術統括本部、ACS技術本部、ソリューションスペシャリスト松崎裕樹氏
「モバイル通信事業において、CEMの重要性が増している」と、ノキアソリューションズ&ネットワークスで技術統括本部ACS技術本部ソリューションスペシャリストを務める松崎裕樹氏は指摘する。背景には、日本のモバイル通信事業を取り巻く状況の変化がある。
例えば、SIMロック解除義務化によって、検証していない端末が自社のネットワークに接続してくるようになった。低料金を前面に打ち出しているMVNO事業者との差異化も必要だ。IP電話ベースの無料通話サービスやSNSといった上位層のOTT(Over-The-Top)プレイヤーの台頭によって、これらのサービスを利用する上での品質も考慮する必要性が出てきた。
フィンランドのNokia Solutions and Networksが実施したアンケート調査「2014 Nokia Acquisition and Retention Study Report」では、モバイル回線契約を継続するかどうかを決める要因の1位はコスト(44%)で、2位はネットワーク品質(29%)。3位は顧客サポート(15%)で4位はサービスと端末のラインアップ(12%)という結果になったという。
同調査によると、回答者の40%が「次の1年で事業者を見直したい」と考えているという。特に、先進国においては「現在の事業者を継続する」と回答したユーザーは19%しかいない。一方で、回答者の41%は、「ネットワーク品質がさらに向上すればもっと支払ってもよい」と答えている。このように回線契約の流動性が高まっている中、顧客体験指数を把握することの必要性が高まっている。
複数の指標を総合的に判断し、個々の顧客の顧客満足度をCEI(顧客経験指数)として0~100の絶対値で表す。このCEIを利用して顧客ごとにサービスの改善を図る