Microsoftはもはや、Linuxという「がん」に冒されることを恐れていない。実際、同社は懸命に(特にクラウド事業で)オープンソースを取り込もうとしている。
Microsoftは「Azure Cloud Switch」を独自のLinuxディストリビューション上に構築しただけでなく、コンテナ化を進める上でもオープンソースを活用している。
もちろん、Microsoftには他にあまり選択肢がなかったのだと皮肉を言う人もいるだろう。
Microsoftはクラウドを構築し、そこにコンテナを使いたい顧客を呼び込もうとしているが、それらの顧客はみなオープンソースを選択しているからだ。Googleは、自社が持つコンテナオーケストレーション製品である「Kubernetes」を、Linux Foundationの仲介を受けて非営利のオープンソースプロジェクトに移管した。一方、TwitterやAppleなどの企業は、オープンソースのクラスタマネージャである「Apache Mesos」を選択した。
しかしMicrosoftも、この流れを渋々追っているわけではない。Microsoftは9月、Apache MesosとMesosphere Datacenter Operating System(DCOS)のオープンソース部分を使用した、Microsoft Azure上のコンテナを管理するオープンソーススタックである「Azure Container Service」を発表している。
筆者はAzure事業の最高技術責任者(CTO)であるMark Russinovich氏から、このAzure Container Serviceについて詳しい話を聞いた。
--Microsoftのコンテナに対するビジョンは、ほかの企業のコンテナに対するアプローチとどう違うのでしょうか。
Russinovich氏:この業界のほかの多くの企業と同じく、Microsoftは多くの理由でコンテナ化に取り組んでいます。その中でも重要なのは、開発者に新次元のアプリケーションのポータビリティと俊敏性を提供すること、そして開発者がマイクロサービスベースのソフトウェアの提供できるようにすることです。われわれはこの変化の最先端を走っており、パブリックか、プライベートか、ホスト型かを問わないあらゆるクラウドや、複数のOSを横断して選択肢と柔軟性を提供するという、ほかの会社とは違う戦略を示してきました。
わが社のビジョンは、WindowsかLinuxかを問わずすべての開発者がコンテナの恩恵を受けられるようにするということです。われわれはオープンソースプロジェクトに直接貢献し、この分野のコミュニティーのリーダーたちと密接に強力しながら、それを実現しようとしています。
例えば、われわれは1年強前に、ホスト型環境かクラウドプロバイダーかに関わらず、顧客がLinuxとWindows Serverの両方のコンテナを使用できるマルチコンテナアプリケーションの管理と展開を行えるようにするため、Dockerとパートナーシップを結んだことを発表しました。これは、Linux仮想マシン上のDockerコンテナを、わが社のクラウドコンピューティングプラットフォームであるMicrosoft Azureでサポートしたことで始まった進化です。
最近では、本番環境におけるコンテナの管理の課題を解決するため、Docker、Apache MesosおよびMesosphere Datacenter Operating System(DCOS)を活用して、信頼性が高く、スケーラブルなコンテナワークロードの実行環境であるAzure Container Serviceを発表しました。2015年中には、このサービスのプレビュー版の提供が始まります。
--オープンソースはMicrosoftのビジョンと戦略にとって非常に重要なのですね。その理由はなんでしょうか。
Russinovich氏:Azure事業のCTOであるわたしにとっては、顧客が持つ特定のニーズに合わせて、最大限の柔軟性と選択肢を提供するということに尽きます。
現実には、現在ほとんどの企業がWindowsとLinuxが混在した環境を使用しており、その多くがオープンソースのテクノロジを活用しています。われわれはAzureを それらの企業にとって、選んだテクノロジに関わらず、抱えているワークロードを実行できる場にしたいと考えています。