今後エンタープライズ業界の大企業から、「長期的シフト」というフレーズを聞く機会は増えるだろう。
EMCのCEOであるJoe Tucci氏は、10月21日に開かれた決算報告の電話会議で次のように述べている。
私はこれまで長い間、この業界では、これまでに経験したことのない大きな長期的シフトが起こっていると言ってきた。今後は多くの整理統合を目にすることになるだろう。
Tucci氏の見方は、Dellの買収は合併会社に市場で競争するためのより大きな規模とスケールをもたらすというものだ。同氏は次のように付け加えている。
今プレイされているのは、違うゲームだ。クライアントサーバ時代、またはすぐ前の時代には、あらゆる企業が自分のレーンにきちんと収まっていた。当時はストレージのレーンがあり、EMCはもちろんそこでプレイしていたし、ネットワークのレーンではCiscoがプレイしており、サーバのレーンもあって、そこには最初にSunがおり、のちにHPやその他の企業が参入した。もちろんデータベースのレーンもあり、Oracleが幅を利かせていた。振り返って現在を見ると、誰もそのレーンにはとどまっていない。Oracleを例にとれば、同社はデータベースのレーンだけでなく、アプリにも進出し、同時にハードウェアとソフトウェアの同時設計にも乗り出している。われわれは、コンバージドインフラストラクチャの分野に進出した。Ciscoはサーバとストレージに進出している。このように、今では違う世界になっている。そして基本的に、このゲームをプレイするには、同時に協力を行う必要もある。「自分が自社のスタックでプレイするところはここで、他社と協力してプレイするところはここだ」と宣言しなくてはならない。
HPは規模を縮小して2つの企業に分割するというアプローチをとっている。一方IBMのアプローチは、14四半期連続の減収に苦戦しながらも、アナリティクスやコグニティブコンピューティング、クラウド関連の事業を成長させるために投資を行うというものだ。
結論としては、これまでデータセンターを支配していた、堅固で盤石だったエンタープライズIT企業は、今後合併によって規模を大きくするか、敏しょうさを求めて分割されるかのどちらかになるだろう。IT業界では、これまで「Xに買収されても解雇される者はいない」と言える状況が続いてきた。しかし今ではどうだろう。大企業による買収で、解雇されることがあり得る時代になった。
今の不可侵な存在は、クラウド業界の大手企業だ。これらの企業が引き起こす市場の混乱は、MicrosoftのAzure事業や、AWS、Salesforceなど含む、新たな「安全な」企業を生むのかもしれない。しかし当面は、古いエンタープライズIT企業の整理統合が進む時期だと言える。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。