冒頭の発言は、このコメントのエッセンスである。大増員した営業マンが売るクラウドサービスは結果的に高価にならないか、とも感じたが、オラクルが価格競争力でもセールスフォース・ドット・コムを強く意識した戦略を採り続けるのは間違いないだろう。果たして追撃なるか。下垣部隊の大いなるチャレンジである。
「新しいIT活用の時代に向けた“OSCA 2.0”を市場に浸透させていきたい」 (デル 町田栄作 執行役員)
デルの町田栄作 執行役員
デルが先ごろ、2012年2月に設立したオープンかつ標準化技術に基づくクラウド環境の普及促進団体「オープン・スタンダード・クラウド・アソシエーション(OSCA)」において、新たに「IoT(Internet of Things)」や「SDx(Software-Defined x)」の両分野もテーマとして取り入れた「OSCA 2.0」の活動を開始したと発表した。同社執行役員でエンタープライズ・ソリューション統括本部長を務める町田氏の冒頭の発言は、新たな活動に向けた意気込みを語ったものである。
町田氏を会長にこれまでおよそ3年半活動してきたOSCAは、「ハイパースケール・データセンターソリューション」「クラウド運用管理の効率化」「クラウドの相互運用」の3つを柱に6つの技術分科会を構成し、さまざまな検証結果をホワイトペーパーやリファレンスアーキテクチャなどの技術文書として公開してきた。当初13社・団体だったメンバー数も、現在では図に示したように22社・団体に拡大している。
OSCA参加メンバー
同氏はこれまでのOSCAによる活動の成果として、「セミナーやイベントを73回開き、技術文書を32件まとめた。さらに、関連した商談の案件数は89件に上り、デルにおける関連ビジネスの売上高の年間平均成長率として26%という高い水準を記録した」と述べ、ビジネス推進団体として非常に有効に機能していることを強調した。
そして、今回発表したOSCA 2.0の活動としては、IoTやSDxに関わるオープン技術を注力分野として位置付け、「ビッグデータ分析」「オープンネットワーキング」「オープンクラウドコンピューティング」における検証および情報発信に取り組んでいくとしている。
OSCAの活動がユニークなのは、デル日本法人が発起した日本独自の取り組みであることだ。町田氏によると、デルのグローバルな活動でも各国・地域でそれぞれの事情に合わせて同様の取り組みが行われているそうだが、OSCAというビジネス推進団体を設けてパートナー企業との連携強化を図っているのは日本だけだという。まさにデル日本法人の意欲的な取り組みといえる。
米Dellは先ごろ、米EMCを買収すると発表した。計画通り行けば、2016年半ばにも完了する予定だが、場合によっては先駆けてEMCジャパンがOSCA 2.0の活動に加わる可能性もありそうだ。OSCA 2.0の活動が今後どのような広がりを見せるか、注目しておきたい。