Windows 10にはともに満足
なおWindows 10については、両氏ともに満足顔だ。「コンシューマーでは素晴らしいスタートを切った。エンタープライズでも良い出足となりそうだ」とNadella氏が言えば、Dell氏も「最高のWindowsだ。迅速に受け入れが進んでいる」と述べる。エンタープライズでは、「関心の高さは一部の予想を上回っている。2016年後半にWindows 10の実装が加速するだろう」との予想を示した。
Nadella氏はエコシステムや顧客主義について、「クラウドでも同じ」と説明する。クラウドについては、両氏ともにハイブリッドクラウドが将来だと信じているが、これは「顧客の現実」(Nadella氏)に即した結果という。
「エンタープライズの顧客に対しては、顧客の現実に対応しなければならない。業界のベンダーの地政学で動いてはいけない」とNadella氏、確かに氏の2年間を振り返るとMicrosoftは政治的に振る舞うことが少なくなったことは誰もが認めるところだろう。
Nadella氏
将来にあるのはマルチクラウド・ハイブリッド
パブリッククラウドの成功によりエンタープライズのクラウド業界を支配しているAWSについて、「どうやってAWSと戦うのか?顧客を奪う計画か?」という質問に対しても、「選択肢」が2氏の答えだ。
「AWSは明らかにリーダーだが、われわれはナンバー2だ」とNadella氏。だがソフトウェアのSaaSとなると、すでに最大手の座についていると胸を張った。「パブリッククラウドだけというのは、あまりに狭い見解」とNadella氏、そして調査会社の調査から企業の8割がハイブリッドクラウドになる、と予想した。「今年のサーバの出荷台数は800万台といわれており、Microsoft、Google、Amazonなどのハイパースケール、クラウドインフラ向けは200万台ぐらいではないか。(残りの)600万台はそれ以外の企業であり、ここでハイブリッドインフラが重要になる」と続ける。
「たくさんのクラウドがあり、将来はそれを利用することになる。パブリッククラウド、SaaS、プライベートクラウド、そしてオンプレミス……」とDell氏。エンタープライズのワークロードは1億6000万だとし、このうちの10分の1程度がパブリッククラウド、残りはオンプレミスかプライベートクラウドにあり、その多くが仮想化されているとみる。
「ワークロードの仮想化と自動化により、IT管理を高いレベルに持ち上げることができる」とDell氏は話す。マルチクラウドとオンプレミスが混在する環境に向かっており、管理が重要になるとの見通しを示した。
クラウドのさまざまな局面で起きている価格競争から収益性について聞かれると、Nadella氏は「ハイテク企業はどこも、市場のパイそのものを大きくすることを考えている。重要なことは、マグニチュードと影響力」と答えた。「ずっとサーバ事業で育ってきたが、現在Office 365には毎月5万社が新規契約している。これにはSkype for Businessなどが入っており、これまで得られなかったパワーを得ている」とし、これがマグニチュードやインパクトであるとする。
Dell氏も同意し、「技術に容易にアクセスできるようになれば、需要は拡大する。新しいアプリケーション、新しいビジネス、新しい創造性が生まれる。今日の環境をみて、次は何に移るのかと探すことが重要なのではない。世界全体が変わることがポイントだ」とした。