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先進のITはまず自分たちで試す--ネットワンシステムズの吉野社長 - (page 4)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2015-10-29 18:39

――顧客に先んじて最新ITを導入する進取の精神はどのように養うのか。

 ネットワンはこの業界で30年弱ビジネスをしていますが、プロダクトアウトが多い。顧客よりもメーカーの方が技術開発が進んでいるという立ち位置でしたが、それでは顧客に対して失礼だと考えるようになりました。顧客にも先行して勉強されている人がずいぶん増えたためです。その上で顧客がネットワンに期待するものは何かを考えたときに、いつまでもネットワーク構築だけをやってるわけにはいきません。


 そこで、これまでよりさらに、先進的なICTを自社で使うことに取り組みむことにしました。3年ほど前に内部の情報システムのセンターを仮想化し、サーバ220台が30台に減りました。ストレージは増やしましたが、CPU、つまりラックの数が減って電気代も減りました。また、社内のネットワークをWi-Fiにして、固定席も減らし、固定費を減らしました。社員へのPC支給もやめて、お金を出す代わりに好きなPC利用できる取り組みも始めています。

 先進的なITを導入してわかったことを顧客に伝えるという当たり前のことをしています。社員が一人一人ユーザーですが、仮想化環境以前と使い勝手はどう変わったのか、すべて「ユーザーの声」として顧客に伝えることこそが、カタログとの違いです。

 制度面でもテレワークを推進し、結果としてペーパーレス化も進み、印刷代は以前よりずいぶん減っています。テレワークについては、男性でも女性でも育児はますます重要になっていきますし、ましてや通勤時間なんて無駄の象徴のようなものだと思います。社内では、自宅と会社と客先の「ピラミッド」を何回往復するのかとよく言っています。

 ネットワンには国内10カ所の営業拠点がありますが、テレワークを導入したことで出張が半分くらいになっています。長い移動時間がテレビ電話でゼロにできるなら、メリットの方が大きいですよね。もちろん、Face to Faceの重要性も認識しています。実際に顔を合わせることも、一緒に呑むことも必須だと思っています。ただ、それを積極的にやれとも言いませんし、やめろとも言いません。どこででも好きな時に仕事ができる選択肢をICTで用意することが重要だと思っています。

――5年後の展望は。

 3年先もわからないのに、5年後はなかなかわかりませんが、制度もシステムもユーザーに先んじて、まずは自ら試すことは変わらないと思います。ユーザーとメーカーという2つの顧客ありきの商売です。メーカーにも「実証試験はよかったらうちに来てください」と言っています。

 今でも倉庫内に、ラックを310本ほど並べて、5000個の機材を用意し、SEの自由にさせるような環境を作っています。サーバもストレージもネットワーク、セキュリティも毎年十数億投資しています。それくらい世の中の変革が早いので。ネットワーク関連の従業員にも、変革を肌身で感じて欲しいのです。

 技術者は触ってみてナンボの世界ですから機器同士をつないで使ってみて、動作検証、動作確認をしてユーザーに届ける。人に振る前にちゃんと自分たちで使ったほうがいいじゃないですか。われわれの持ってる対メーカーと、対ユーザーの両方に対する価値であり、その価値は変わらないでしょう。

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