「今後10年間、オンプレミスからクラウドへの移行が起こる。Oracleはこれをリードする」--米Oracleの最高経営責任者(CEO)、Mark Hurd氏は10月26日、米サンフランシスコで開催中の「Oracle Open World 2015」でそう述べた。
2日目の基調講演に立ったHurd氏は、クラウドに関する5つの予言とともにOracleの優位性を強調した。Hurd氏がステージ上のデスクに座り、顧客企業のCIOを招いてクラウドを中心にIT戦略について聞いた。その1社がGeneral Electric(GE) Companyの最高情報責任者(CIO)、Jim Fowler氏だ。
デジタル製造業を目指すGE
「デジタル製造業」を目指すGEのFowler氏が語ったクラウド戦略を見てみる。
GEはIoTなど積極的なデジタル戦略を敷いているが、Fowler氏は「130年の社史上、もっとも重要で最大のトランジションにある」と緊張感を持って語る。向かうのはデジタルインダストリアル(デジタル製造業)だ。
「世界最大のデジタル製造業になる、これが戦略だ。これを可能にするのがクラウドだ」とFowler氏。2020年にはデジタル製品とデジタルサービスの事業規模を150億ドルにするという目標を掲げているという。
General Electric(GE) CompanyのCIO、Jim Fowler氏
ではクラウドの移行はどのように進んでいるのか? 「現在20%を少し上回るアプリケーションがクラウドで動いている。2020年にはこの比率を70%にあげる」とFowler氏。
クラウドに移行したことで得られたメリットはコストだけではない。Fowler氏は例として、石油ガス事業で利用するコンフィギュレーターをクラウドに移行した。コストは6万5000ドルから6000ドルに削減できたが、同じように大きなメリットとなったのがスケールだ。発注や見積もりといった処理を増やすことができたという。
またアプリケーションの変更も2分で完了するなどサイクルタイムの短縮も図れた。
Fowler氏はクラウドや技術の使い方について、「差別化ではないところでのイノベーション(新しい技術)を購入する」と説明する。イノベーション、拡張性、セキュリティなどを購入することで人的、経済的リソースを解放し、その分を自分たちの差別化となるところに注ぐという。
このような技術戦略が立てられるのも、CEOの理解があってのことだ。Fowler氏は、「CEO自らがデジタルの重要性、デジタルにより崩壊が起こるということを理解している」と述べ、トップの理解が重要であることを示唆した。