ルームサービスもワイン選定もWatsonにお任せ?
セッション後半ではWatson APIで開発したアプリが次々と紹介された。
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Go Momentが提供する「Ivy」は、モバイル端末からホテルへのリクエストを実行できるものだ。Go Momentの提携ホテルの宿泊客であれば、例えば、ルームサービスのオーダーやチケットの手配などをモバイル端末に音声入力するだけでよい。
Ivyを通じてWatsonが音声認識し、ホテルの該当部門にリクエストアラートを出す。これによりホテルはオペレーターなどにかかる人件費を削減できる。実際、同アプリによってホテル側は、顧客リクエストの95%を人の手を介さずに処理しているという。
VineSleuthが開発した「Wine4.Me」は、ユーザーの味覚プロファイルに基づき、条件にあわせてお勧めワインを提示、購入できるアプリだ。こちらも音声入力で、Watsonがワインを選定するという仕組みだ。
StatSocialは公開されているSNS上の情報を片っ端から収集し、コンシューマーのプロファイルを作成する
興味深かったのは、StatSocialの事例である。同社はSNSに公開されているデータをもとにコンシューマーのプロファイルを構築し、小売業などに提供するサービスを提供している。SNSから得るデータは、Facebookで「いいね」を押した記事、Twitterにハッシュタグを付けて投稿した内容などで60のネットワークを駆使して個人情報を収集しているという。
収集した情報はWatsonで分析し、該当コンシューマーの性格やニーズ、価値観などをつまびらかにしてプロファイルに追加する。同社でシニアバイスプレジデントを務めるRob Floyd氏は、「StatSocialが提供するプロファイルによって、顧客となる小売店は自社製品の購買履歴だけでなく、他社の購買履歴や個人の性格、嗜好性まで把握できる。このデータをもとに商品をリコメンドすれば、購入率も高まる」と説明する。
Rhodin氏とPepper“ちゃん”。米国でPepperは“She”として扱われていた
事例セッションの中で一番聴衆の関心を引いたのは、ソフトバンクロボティクスが販売するヒト型ロボット「Pepper」だ。IBMは2月、Watsonの日本語対応化に向け、ソフトバンクとの提携を発表した。日本においてPepperは、銀行や中古車販売の一部接客などに活用されている。Watsonの日本語対応が完了すれば、Pepperの頭脳はWatsonになる。デモンストレーションでは、Rhodin氏が一部日本語でPepperに語りかける場面もあり、日本語対応が順調に進んでいることをアピールした。
Watsonに関連する数字。36カ国、17業種、7万7000人の開発者が携わっている
日本でもWatsonへの関心度は高く、「既存のエンタープライズのお客様でもお待たせしている状態」(IBM担当者)であるという。今回のゼネラルセッションは、Watsonの活用事例が大半を占めた。その背景には「顧客のビジネスを理解し、コンサルティングも含めたトータルソリューションを提供できるIBM」を鮮明に打ち出す狙いがあるようだ。