IaaS基盤を統合的に構築、管理するオープンソースソフトウェア「OpenStack」のカンファレンス「OpenStack Summit Tokyo 2015」が10月27日~30日に開催されている。日本での開催は初めて。ほとんどのセッションが英語で実施され、有料にもかかわらず、海外からも5000人以上の来場者が集う、OpenStackユーザーの一大イベントである。

OpenStack Foundation エグゼクティブ・ディレクター Jonathan Bryce氏
基調講演では、OpenStack FoundationのエグゼクティブディレクターであるJonathan Bryce氏が先日発表のあった最新リリース「Liberty」を紹介。OpenStackの伸長と、さらなる発展のためにより多くの“才能”が必要であると述べた。
新たな人材を獲得するために、Bryce氏は個人向けの認定制度「OpenStack認定管理者(Certified OpenStack Administrator:COA)」を発表した。COAは、OpenStackの人材育成とコミュニティーの拡大を目的とし、OpenStack認定制度のスタンダードと位置付けている。
COAは、6カ月以上のOpenStack運用経験を持ち、OpenStackクラウドの日常的な運用管理に必要なスキルを備えた人材を指す。認定試験の管理は、バーチャル試験基盤を開発したLinux Foundationによって実施され、世界中で低価格でCOA試験を受験できるとした。試験の実施開始は2016年第2四半期中を予定し、認定プログラムの追加も計画中という。
Openstackコミュニティーが拡大していく一方、Bryce氏は「Openstackとは何か」がややあいまいになっていると指摘した。OpenStackを「コンピュート」「ストレージ」「ネットワーク」といった“コアサービスセット”とそれ以外のオプション(ビッグデータ処理フレームワークのサポート、課金など)に構成を分けて考えることが重要と説明している。

Project Navigatorの画面
さらに、コアプロジェクトとそれ以外を明示することで、コミュニティーの新規ユーザーに対し、自社の導入環境に必要なコンポーネントを取捨選択しやすくするサイトを発表した。
ウェブサイト「Project Navigator」である。OpenStackを構成するコンポーネントを導入、利用するときにさまざまな尺度からコンポーネントを評価している。
コンポーネントの採用度合い、成熟度、プロジェクトの開発期間、リリース計画、パッケージング、マニュアルサポートなど、各プロジェクトに関する情報を可視化し一覧できる。
現在、25種類以上のクラウド関連サービスやプロジェクトがOpenStackブランドで提供されているものの、機能やサービスの成熟度を測ることが難しい状態にあったとしている。従来から提供しているOpenStack Marketplaceについても、アップデートを実施しつつ、製品の追加を継続するという。
講演ではユーザー事例として、Lithiumやヤフー、GMOグループなどが登壇し、OpenStackの展開が拡大していることをうかがわせた。
このほか、OpenStackの導入や、コミュニティーへの貢献度の観点で評価されたユーザーに送られるOpenStack Superuser AwardはNTTグループが、アジアパシフィック地域から初めて受賞した。

会場の様子