IBMは米国時間10月27日、オンプレミス環境に導入する新しいプライベートクラウドサービス「IBM Blue Box Local」を発表した。これはIBMが6月に買収したBlue Boxのテクノロジをベースにした新サービスであり、11月30日のリリースをもって既存の「IBM Cloud OpenStack Services」を置換することになる。なお、IBMは先日、顧客が自社ファイアウォール内で運用できる「Bluemix Local」もリリースしている。
Blue Box Localの導入を希望する顧客は、まずサイト調査によって導入要件が判定された後、互換性リストに提示されたハードウェアを購入する。そしてIBMがハードウェアの組み立てを行い、顧客サイトに納品する。ハードウェアの電源を入れてネットワーク接続が確立されると、Blue Box Localの環境全体がIBMとBlue Boxによってリモート管理される。
IBM傘下のBlue Boxで最高技術責任者(CTO)を務めるJesse Proudman氏は、「一般的なプライベートクラウド製品は、導入から完全稼働までに数カ月から数年を要する」とし、運用に膨大な手間暇がかかり、短期間で効果を得るのが難しいため、こうした問題を解消したいと述べる。
2003年に創業されたBlue Boxは、2013年にOpenStackベースのホステッドプライベートクラウドを開発し、世界4カ所にある自社データセンターの専用ハードウェア上で運用していた。IBMがBlue Boxの買収後に初めてリリースしたBlue Boxベースのサービスは、このテクノロジをIBMのSoftlayerクラウドに移植したものだった。Blue Box Localは、これと同じテクノロジをベースにしているが、ハードウェアが顧客サイトに設置されるという点が異なっている。
Proudman氏によると、特にヘルスケア業界や金融業界では、既存のレガシーシステムと最新のクラウドアプリケーションの両立を求める企業が存在する。通常、これらの企業は膨大な投資の末に構築した既存のシステムを運用している。だが、そこに格納されているレコードを最新のクラウドアプリケーションで活用したいと思っても、それらのレコードは機密性が極めて高いため、環境をパブリッククラウドに移行することはできない。
こうした顧客はOpenStackのチームを立ち上げて、適切なディストリビューションを導入し、運用に試行錯誤したくはない。そうした課題を解決するサービスとして登場したのがBlue Box Localだという。
Proudman氏は、OpenStackは驚異的なテクノロジだが非常に複雑で、OpenStackに精通したアプリケーションエンジニアを確保するのも極めて困難だとした上で、「われわれはそのような専門性を1つの組織に集約することができる」と述べる。
同氏は、こうした多数のクラウドを管理する1つの組織として、IBMはそこから得られる知見を基に、継続的にこの製品を改善し、リアルタイムで全ての環境に反映させていくとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。