(8)その他
今年の特徴は、検索系のオープンソースが多く出てきていることです。全文検索エンジンの「Namazu」や「Apache Solr」は、以前から活用されていましたが、今年はさらに同じ「Elasticsearch」「Hyper Estraier」といった全文検索エンジンの導入実績が出てきたことや、データ可視化ツールである「Kibana」の導入実績も出てきました。ビッグデータ活用の影響が、このように全文検索エンジンの領域にも出ているようです。

その他の分野のOSS導入状況
4.今後OSSの活用が予想される分野
今回の調査に参加した企業で検証されている分野を中心に、OSSのこれからを予想してみたいと思います。
(1)DevOps関連
従来から、開発環境でOSSは活用されていましたが、昨今のアジャイル開発の手法を取り入れた「開発」と「運用」を一体化した「DevOps」の分野で、さらにOSSの活用が予想できます。特に、継続的インテグレーション(CI)のみならず、継続的デリバリ(CD)分野でのOSSの普及は目を見張るものがあり、今後期待できる分野です。
(2)仮想化
Xenから始まったOSSの仮想化ツールですが、現在ではDockerに代表されるようなコンテナ周辺に注目が集まっています。コンテナ専用OSのCoreOSをはじめ、コンテナ管理ツールであるKubernetesも、今後の展開に注目したいところです。
(3)DB関連ツール
従来のDBMS(データベース管理システム)に加えて、NoSQLといわれる分野のツールの躍進が期待されます。今年すでに半数以上の企業が「MongoDB」を活用しているというデータもありましたが、それ以外にも「Cassandra」や「infiniDB」、「Redis」の利用が拡大していくことが予想されます。
6.まとめ
今年の調査結果を見ると、OSSの世界で大変動きが激しくなってきていることがわかります。従来“コスト削減”目的であったOSS活用が、さまざまな企業のオープンイノベーションによって、新しい価値を作る“イノベーション”に変化していることが感じられる結果になっています。これからも定点観測をすることで、OSSのメリットをみなさんにお伝えしてきたいと思います。
- 吉田行男
- 日立ソリューションズ 技術開発本部 研究開発部 主管技師。 2000年頃より、Linuxビジネスの企画を始め、その後、オープンソース全体の盛り上がりにより、 Linuxだけではなく、オープンソース全般の活用を目指したビジネスを推進している。 現在の関心領域は、OpenStackを始めとするクラウド基盤、ビッグデータの処理基盤であるHadoop周辺及びエンタープライズでのオープンソースの活用方法など。