松岡功の「今週の明言」

ガートナーが説く「デジタルビジネス」の勘所

松岡功

2015-10-30 17:27

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、米GartnerのJamie Popkin リサーチ部門バイスプレジデント兼最上級アナリストと、日本IBMの小池裕幸 執行役員の発言を紹介する。

「デジタルビジネスにおいては“アルゴリズム”が重要になってくる」
(米Gartner Jamie Popkin リサーチ部門バイスプレジデント兼最上級アナリスト)


米GartnerのJamie Popkin リサーチ部門バイスプレジデント兼最上級アナリスト

 ガートナージャパンが10月28日から3日間、都内ホテルで開催しているプライベートイベント「Gartner Symposium ITxpo 2015」において、「2016年の戦略的テクノロジートレンドのトップ10」などの記者説明会を10月29日に開いた。Popkin氏の冒頭の発言は、その会見で、戦略的テクノロジートレンドが形作る「デジタルビジネス」の進化について語ったものである。

 Popkin氏によると、デジタルビジネスとは「人、モノ、ビジネスが物理的にだけではなく、仮想の世界においても1つにつながっていくビジネス」を指す。Gartnerがまとめた戦略的テクノロジートレンドのトップ10は、2020年までのデジタルビジネスの機会を形作るものだとしている。

 2016年の戦略的テクノロジートレンドのトップ10は、「デバイス・メッシュ」「アンビエント(環境に溶け込んだ)なユーザー・エクスペリンス」「3Dプリンティングの材料」「すべてのインフォメーション」「高度な機械学習」「自律型のエージェントおよびモノ」「アダプティブ・セキュリティ・アーキテクチャ」「高度なシステム・アーキテクチャ」「メッシュのアプリ&サービス・アーキテクチャ」「IoT(Internet of Things)アーキテクチャ&プラットフォーム」。順位付けはしていない。

 それぞれの意味についてはガートナージャパンが和訳した発表資料をご覧いただくとして、筆者が興味深く感じたのは、図のようにこれらトップ10は3つのカテゴリに分けられ、そのプロセスにおいて「アルゴリズム」が重要なキーワードになっていることだ。


Gartnerが発表した「2016年の戦略的テクノロジートレンドのトップ10」

 先述したトップ10の順番に沿っていうと、最初の3つのトレンドは「デジタル・メッシュ」というカテゴリに入る。Popkin氏の説明によると、デジタル・メッシュとはIoTを形成するネットワークのイメージだ。そうした中で進化するデジタルビジネスにおいて、今後重要になってくるのが「アルゴリズム」、すなわち「関係性と相互接続性」だという。「デジタルビジネスの未来はアルゴリズムによって決まる」とも断言している。

 そして、そのアルゴリズムを駆使したビジネスの世界では、人間が直接関与しないバックグラウンドで多くのことが行われるようになるという。それを可能にするのが「スマート・マシン」であり、図にある3つのトレンドがこのカテゴリに入る。

 さらに残りの4つのトレンドは「ITの新たな現実」というカテゴリに入り、アルゴリズムによるビジネスのサポートに欠かせない新しいアーキテクチャとプラットフォームのトレンドに対応しているという。

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