UIとセキュリティの両立に注力--IBMと提携したボックスのエンタープライズ戦略

末岡洋子

2015-11-11 07:00

 法人版のDropboxと形容されることがあるBoxだが、実は創業はBoxが2年早い。そしてBoxが目指すものは、クラウドストレージサービスをはるかに超えたクラウドのコンテンツ管理サービスだ。Boxでエンタープライズ事業を立ち上げたグローバルマーケティング担当シニアバイスプレジデント兼エンタープライズ担当ジェネラルマネージャのWhitney Bouck氏に、エンタープライズ戦略、Boxの優位性などについて話を聞いた。


Boxエンタープライズ事業を率いるWhitney Bouck氏。
Documentumに長く勤務していた。

――Boxはオンラインストレージとして登場したが、現在自分たちをどう定義しているか?

 Boxはコンテンツ管理、コラボレーションプラットフォームと位置付けている。ストレージは無料ではない。ストレージだけが必要というのであれば、クラウドストレージは安価なものがたくさんありBoxは割高になる。Boxの価値は、管理、セキュリティ、それにビジネスコンテンツのプロセスでコラボレーションできるツールという点にある。

――エンタープライズにアプローチするために、どのような取り組みを行ってきたのか?

 数年がかりで大規模な投資を行ってきた。我々は10年前に創業したが、5、6年前に大規模企業に大きなチャンスがあると気がついた。きっかけは、P&Gがアプローチしてきたため。目的は自社車内開発のファイル管理システムのリプレースで、この規模をサポートするにはBoxに技術、営業などあらゆる面で欠けていることがあると気が付いた。

 私はそれを任務として4年前にBoxに入社した。そして、大規模向けのサービスモデルを立ち上げ、セキュリティ設定、他の業務アプリケーションやセキュリティアプリケーションとの統合といった大規模企業向けの新機能を製品に組み込むのに投資した。営業もそうで、本社(サンフランシスコ)以外の地域で最初にやとったのは営業担当だった。小規模企業向けでは電話でよかったが、エンタープライズの営業は対面営業が重要だ。

 このように、営業、マーケティング、製品と全ての面でエンタープライズに対応できるように取り組んだ。だがこれはずいぶん前のことで、いまではエンタープライズのソフトウェアプロバイダとしての体制が整っている。

――エンタープライズ顧客はどんな機能を求めている?Boxをどのように使っている?

 顧客によって要件は異なるが、2つ挙げられる。

 1つ目はセキュリティ。特に、規制のある業界ではセキュリティへの懸念が大きい。データセンターにあるドキュメントの安全性などの懸念を抱いている。これが一番大きい。2つ目は統合。大企業の多くがレガシー技術をもっており、これとの統合が必要。新しい技術との統合も必要だ。

 Boxはこの2つで機能とサービスを提供しており、これが現在の成功につながっている。

 これらに加えて、Boxの秘密は素晴らしいユーザー体験だ。統合やセキュリティは難しくなりがちだが、素晴らしいユーザー体験でこれらの機能を利用できる。導入した企業からは、エンドユーザーも使いやすくて好きだし、IT管理側も各種セキュリティ機能がきちんと備わっており、使っていて安心、と言われている。このコンビネーションは、エンタープライズソフトウェアではめったにない。これが規模を問わず、さまざまな企業によるBoxの採用につながっている。

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