アクセンチュアは、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とインフラストラクチャサービス(IS)の機能を統合した新組織「アクセンチュア オペレーションズ本部」を11月から本格始動する。業務とITを従量課金で請け負う、“As-a Service”の形でサービス提供し、経営のスピードアップを支援する。
アクセンチュア オペレーションズ本部では5つのサービスを提供する。分析技術や業務知識などによりビジネスプロセスの最適化をはかる「ビジネスプロセスアウトソーシング」、SaaSやPaaSの導入、運用支援をする「アプリケーション&プラットフォームサービス」、パブリッククラウドと、プライベートクラウド、オンプレミスサーバを一元管理する「インフラストラクチャ」、サイバー攻撃対策を施す「セキュリティ」である。
オペレーション本部 執行役員 統括本部長 馬場昭文氏
新組織を発足するにあたり、オペレーション本部 執行役員 統括本部長である馬場昭文氏はグローバルでアウトソーシングビジネスの2010~2015年の年平均成長率(CAGR)が10%超で推移しており、2015年で全体の収益の48%を担うほどの規模になると説明した。日本はこれ以上に堅調に推移しているという。
アクセンチュアの実績に加え、グローバル企業の役職者170人に対する4月の調査では約7割が「コスト削減」、約4割が「サービス利用型のスキーム」をアウトソーシングサービスに対する期待事項に挙げているというデータを紹介した。
こうしたニーズに対し、アクセンチュアではオペレーション本部を設置。複数のベンダーのサービス運用を受け負い、柔軟なIT基盤をサービスとして提供することにより、事業立ち上げのリードタイムを短縮する。
オペレーションズ本部インフラストラクチャ・サービス セールス統括 マネジングディレクター 市川博久氏
一方、業務とITを一気通貫に置き換える“As-a Service”化には企業内からの反発や、プロセス改革に実際に対応する必要がある従業員の姿勢などの障壁が存在することが想定されるという。オペレーションズ本部インフラストラクチャ・サービス セールス統括 マネジングディレクターである市川博久氏は「サービスを用意し、実際に使ってもらうノウハウまで届けるのがオペレーションズ本部の責務」と説明した。
エンタープライズと比較し、売り上げ規模10億ドル程度の中堅企業のほうが、ビジネスのコア領域で“As-a Service”を活用して成長を遂げているという調査結果に触れながら、すでに多くのシステム資産を持つエンタープライズのほうが、組織内の反発が大きいことを示唆した。
As-a Service化を阻む要因 2015年4月にグローバル企業100社超、170人以上の役員や部長などへのアンケート
“As-a Service”できちんと成果を出すために、変革の度合いが強い取り組みを浸透させるポイントは3点という。それは、(1)トップダウンだけでなく、実際に変革によりスキルを身に着ける現場レベルでのリーダーシップにより横断的に変革を推進する「社内リーダーシップ」があること、(2)事業のコアではない領域(人事や会計、経理)から変革をはじめる「試験的な小規模に導入と段階的な拡張」を心がけること、(3)内部に適任者がいない場合は外部パートナーの力を借りてでも変革を遂行する「パートナーシップの構築」だ。
市川氏は「製品やサービスを提供するだけでなく、実際のアウトカム(結果)に対して顧客と約束し、利益を分かち合うことができる契約も可能なのがAs-a Serviceの特徴」とアピール。
ビジネスの複雑性が増し、どのサービスが正解かロールモデルがない新規のビジネスに取り組む上で、試行錯誤しながら取り組めるAs-a Serviceモデルの有効性を訴えた。