TeslaのElon Muskが先日、Model Sのオートパイロット機能のお披露目も兼ねて中国に足を運んでいたようで、現地で「あと5、6年で中国での販売台数が米国でのそれと肩を並べる」とか、「早ければ3年後くらいに中国本土でTesla車の生産も」などとコメントをしていたという話が報じられていた。
「Teslaが中国でわりと大きなリストラをやった」(それだけ販売不振が深刻だった)というニュースが出ていたのが今年初めのことなので、今回のMuskの発言には少々意外な気もしたが、いくつかの記事によると、このリストラが奏功し、中国での売れ行きもだいぶ持ち直してきたらしい。
「1~9月の販売実績は3025台に」「今年中国で5000台売れれば成功というのがMuskの考え」などといった記述も見つかる。さらに同期間(9カ月間)のEVの販売台数(ハイブリッドEVを含む)が「中国全体で2万8092台」だったともあるので、これが正しいとするとTelsaのEV市場シェアは10数%ということになる。
ただ、このEV販売台数については「1~8月に10万8654台」という数字も見かけた(中国自動車製造連盟=”China Association of Automobile Manufacturers”のデータ、indianexpress記事)。いずれにせよ、昨年の自動車販売台数実績が2349万台だったという中国市場の中では、全体の0.00x%以下にしかならない計算だが。
Teslaの販売不振の原因の1つとされていた充電設備の不足というボトルネックについては、「自前の高速充電ステーションが既に84カ所、また対応する充電設備が1500カ所に増えている」といった数字が新華社の記事には引用されている。
それとは別に、Muskが「中国国内での生産」の可能性を口にした背景には、中央政府が掲げる「2020年までに500万台のEVを普及させる」という目標があり、またその実現に向けて具体的な動きが活発化している、といった事情もあるようだ。
この点に関係する最近の主立った出来事を時系列に沿って並べると次のようになる。
- 9月下旬にあった習近平とBarack Obamaの首脳会談で、米中政府が温暖化対策に合意
- 中国政府が充電ステーション網拡充に関する新たな指針を公表(10月9日)
- China Tower Co.という新たに設立される携帯通信基地局管理会社の内容が明らかに(10月14日)