これには同意する。CompaqやAutonomy、Palmのことを思い出してほしい。……とは言えない。Dellはこれらの企業とは違うからだ。Whitman氏の主張には同意できないし、Dellは今後も購入製品のサポートを継続するはずだ。確かに製品のリブランディングは起こるだろうし、可能な場合は複数の製品を統合することもあるだろう。その過程で一部の製品がなくなる可能性もある。しかし少なくとも、Dellは顧客へのサポートを継続することについては信頼できると思われる。
孫子の兵法には、戦利品について次のように解釈される説明がある。「勝者や勇敢だったものは表彰すること。戦利品を得ることを奨励すべきだ。ただし同時に、外発的な動機付けの弊害にも留意する必要がある。戦利品が主な動機になれば、兵はまとまりを失う」
ここで得られる教訓はシンプルだ。副次的な戦利品が手に入れば喜ぶべきだが、それ自体を主目的にしてはならないということだ。ある友人は以前、「ドーナツの穴ではなく、ドーナツ自体を見るようにすべきだ」とよく言っていたものだ。VMwareは副次的な戦利品だと言えるが、それはそのまま維持して、その獲得自体を喜ぶべきなのだ。
では、「戦利品」であるVMwareはDellにどのような恩恵をもたらすのだろうか。
まずVMware自体も、DesktoneとAirwatchという2つの重要な企業を含む、複数の企業を傘下に置いている。またVMwareは、クラウドシステム管理とデータセンターの自動化という2つの市場を支配している。図1と図2を見て欲しい。
図1
提供:IDC
図1は、2012年から2014年にかけての、クラウドシステム管理ソフトウェア市場の上位4社を示したものだ。VMwareの首位は動かないことが分かるだろう。
図2
提供:IDC
また、図2はデータセンター自動化ソフトウェア市場をIDCが分析したものだ。やはりVMwareがほかを寄せ付けない勢いで1位となっており、2位のIBMのシェアはその約半分に過ぎない。
VMwareの2014年の総売上高は60億ドル強であり、純利益は8億6000万ドル、従業員数は1万8000人となっている。