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日本株展望

日本郵政グループ3社の投資の考え方 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2015-11-06 10:46

配当利回りに魅力も、成長性には課題

 日本郵政グループ3社の将来には、期待もあるが不安もある。ゆうちょ銀行・かんぽ生命には、政府系金融機関としてさまざまな制約がかかっている。手足を縛られたままでは、成長は困難だ。利益を成長させるためには、業務範囲の拡大が必要だが、政府が実質的に株をほとんど持った状態で業務範囲をどんどん拡大したら、「政府保証を利用した民業圧迫」と言われる。

 たとえば、ゆうちょ銀行には1人当たり預金が上限1000万円までと規制がかかっている。上限を2000万円に引き上げることが検討されたが、今のままで認められる可能性は低いだろう。今回の上場で、約10%の株が民間に移ったが、まだ90%を政府(日本郵政)が保有したままだからだ。

 業務範囲の本格的な拡大は、完全民営化の後になるだろう。政府との資本関係が完全になくなれば、政府系金融機関としての制約から解放される。ただし、そうなるまでに何十年もかかる可能性がある。政府はとりあえず、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の保有株の半分まで売却する計画を立てている。

 半分まで売却が進めば、業務の自由度もそれなりに拡大する可能性がある。ただし、半分売却するにも長い年月がかかる可能性がある。経営の自由度を高めて、成長戦略をとれるようになるには時間を要する。

 親会社の日本郵政には、さらに複雑な問題がからむ。2016年3月期に日本郵政は連結で8600億円の経常利益をあげる予想を立てているが、そのほとんどを、ゆうちょ銀行とかんぽ生命に依存している。

日本郵政グループの2016年3月期経常利益(会社予想)


(出所:日本郵政「東京証券取引所市場第一部への上場に伴う当社決算情報等のお知らせ」より楽天証券経済研究所が作成、その他事業・連結調整の表示を省略、子会社の合計は親会社と一致しない)

 ゆうちょ銀行・かんぽ生命の利益のほとんどが日本郵政の連結利益に取り込まれるうちはいいが、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の保有が半分になった時が心配だ。ゆうちょ銀行とかんぽ生命の貢献利益も半分に減少するからだ。

 それまでに、日本郵便とこれから始める新規事業の利益を合わせて、現在の連結利益を上回る利益をあげるのは、かなり難しいといわざるを得ない。日本郵便は、優良不動産の保有が多く、再開発を進めることで不動産業の利益拡大が期待される。

 経営効率化を進めれば、郵便やゆうパックなど国内物流事業の収益性も高められるだろう。全国に広がる郵便局を活用してさまざまな新規事業を立ち上げる期待もある。ただ、それでもゆうちょ銀行・かんぽ生命からの貢献利益が抜けていく穴を埋めるのは難しいだろう。

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