Hewlett-Packard(HP)は、正式に2つの会社に分割された。一方は、主にPCとプリンタを扱うHP Inc.であり、もう一方がHewlett Packard Enterprise(HPE)だ。両社は果たして成長と経営の変革を成し遂げ、顧客を得ることができるのだろうか。
Hewlett-Packardの分割によって、コンピューティングの分野を変革する2つの動きの速い会社を作るというのがその目的だという。しかし現実には、両社がともに成長に苦労することになる可能性もある。
HPEのサイトには、「スピードこそ、明日を勝利に導く」と書かれている。HPのサイトには、シンプルに「新しいHPへようこそ」とある。しかし現実には、まだほとんど何も変わっていない。現状は次のようなものだ。
- HPは以前からあるPCとプリンタの事業に依存しているが、これらの事業で成長することは難しい。従ってHPの今後の成長は、3D印刷市場への参入がうまくいくかどうかにかかっている。
- 一方のHPEは従業員数を削減し、自動化を進めようとしている。HPEは、変革を加速し、「新たなビジネスへの挑戦をサポートする」企業となったとしている。
よく分からないのは、この分割が果たして今後に向けて大きなメリットとなりうるのかどうかだ。HPは会社を2つに分割することを選んだが、DellとEMCのように、合併によって規模を拡大する企業もある。またあらゆるテクノロジ大手企業(IBM、HP、Dell、Oracle、Ciscoなど)は、合併や事業のシフト、経営陣の交代などによって、何らかの変化を経験している。HPとHPEの行く末は、注意深く観察していく必要があるだろう。
FBRのアナリストDaniel Ives氏は、調査ノートで次のように述べている。
IT支出をめぐる環境は二極化しつつある。ビッグデータアナリティクスや、クラウドコンピューティング、サイバーセキュリティなどの成長分野は、年率30%~40%で伸びている一方で、従来型のハードウェア、サービス、データセンターの分野は急速に減速しており、多くのセクターは横ばい状態か、縮小している。2016年は、かつて支配的な存在だったいくつかのテクノロジ大手企業が、大きく立ちはだかる成長への課題を乗り越え、業績が好転しうることを示す極めて重要な年になると見られる。これらのテクノロジ大手企業は、規模にして1000億ドルを超える次世代データセンター市場のパイをめぐって、さまざまな形で自社の成長エンジンを強化しようとしているが、この仕事は言うは易く行うは難しだ。