本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、富士通の田中達也 代表取締役社長と、NECの遠藤信博 代表取締役執行役員社長の発言を紹介する。
「売り上げを拡大するより、まずは自らの体質を変えることに注力したい」 (富士通 田中達也 代表取締役社長)
富士通 代表取締役社長 田中達也氏
富士通の田中達也社長は先ごろ、新たな経営方針について説明する記者会見を開いた。冒頭の発言はその会見で、今後の経営に向けた基本的な取り組み姿勢を示したものである。
田中氏はビジネスを持続的に成長させるために取り組むべきこととして、「IoT(Internet of Things)時代に求められる“つながるサービス”にフォーカスしたビジネス構造への転換」「ICTがもたらすデジタルイノベーションの可能性の追求」「グローバル市場でのプレゼンスの強化」を挙げ、「これら3つのシナジーによってビジネスモデルを変革し、これまでにも増してお客様に深く入り込んでお役に立つことができれば、それに伴って当社の事業収益力も向上してくると確信している」と強調した。
こうした取り組みのもと、同氏は「目指す姿」として、「営業利益率10%以上」「フリーキャッシュフロー1500億円以上」「自己資本比率40%以上」「海外売上比率50%以上」といった連結業績目標を掲げた。ただ、「最優先すべきは、この目標に向けて自らの体質をスピーディに変えていくことにある。その意味でこの目標は、体質を変えてグローバル市場で勝ち抜けるICT企業になったと判断できる水準を掲げた」と説明した。
さらに、この目標に向けたマネジメントとして、「経営に影響を与える環境の変化がますます激しくなる中で、3年ごとの中期経営計画に基づくマネジメントは、もはや現実的ではなくなってきている。私としては、“グローバルサービスインテグレータ”という長期的なビジョンを打ち出す一方で、継続的なビジネスモデルの変革をスピーディに実行していくために、年度ごとで経営計画の進捗をきめ細かくチェックし改善を図っていきたい」との取り組み姿勢も明らかにした。