SAS Institute Japan 代表取締役社長 堀田徹哉氏
SAS Institute Japanは11月5日、10月1日付けで代表取締役社長に就任した堀田徹哉氏の記者会見を開催した。
堀田氏は、国内建設会社、アクセンチュア、SAPジャパンを経て同社に入社。前職のSAPジャパンでは、バイスプレジデントのポジションでアナリティクス、データベース、モバイルなどのプラットフォーム事業と、プリセールス、インダストリーソリューション部門を統括していた。
自身の次のキャリアとしてSAS社長を選んだ理由について、堀田氏は、「(アクセンチュアの)元コンサルタントとして、SASという企業は、経営手法がユニークと感じている。非上場にこだわりながら、創業以来39期連続で成長している。非上場であるがゆえに、短期的な利益を追求せずに、長期的視点での研究開発や社員の満足度向上に投資ができる」と述べた。
さらに、「最先端のソフトウェア製品を有するだけではなく、製品によって変革をおこす実行力にも魅力を感じた。SASは、Advanced Analyticsの分野でトップシェア、2位以下の15~16社を足し合わせたよりもシェアがある」(堀田氏)とする。
大学と連携してデータサイエンティスト人材を育成
同社の経営方針について、堀田氏は、「SASはアナリティクス以外の事業をやることはない。アナリティクスの強みをいつもでも追及していく」と説明。その上で、「これまでの特化型の統計分析分野だけでなく、アナリティクス製品の間口を広げて、より大きな経営課題にソリューションを提供していく。アナリティクスを核にした戦略的IT活用のベストパートナーを目指す」(堀田氏)と述べた。
“アナリティクスを核にした戦略的IT活用のベストパートナー”になるための施策として、グローバルと国内で大きく4つのことに取り組むとする。
1つ目は、「製品の高度化」だ。FinTechやIoTなど、新しくより複雑な領域においてもSAS製品が使われる形を目指す。
2つ目は「パートナーとの連携強化」。グローバルで展開するパートナープログラムを、日本市場でも段階的に導入していく。
3つ目には、「アカデミアとの連携」を挙げた。「米国本社では、SAS創業者の出身大学であるノースカロライナ大での人材育成支援などを行っている。日本でも本社と同じように、大学との連携を進めて、国内でのデータサイエンティスト不足の解消につなげたい」(堀田氏)
4つ目として、「社員の働きがい向上」に向けた施策を社長直属のプロジェクトとして推進していくと説明した。
SAS Institute Japanのシニアリーダーシップメンバー
国内の課題はデータ整備コスト
現在、同社のアナリティクス製品のメインユーザーは、金融、製薬、製造業の大手企業。その中でも、“SAS使い”と称されるような専門知識を持った分析担当者が、高度な統計分析に活用している印象だ。堀田氏は、「これはあくまでイメージ。SAS製品のポートフォリオには、もう少しカジュアルなアナリティクスができるものも含まれている。今後は、SASは特殊な部門だけが使うものではなく、社内標準で使えるアナリティクスプラットフォームであることを市場に訴求していく」と説明した。
国内市場での課題は、諸外国と比較してシステムが標準化されていないために、アナリティクスのためにデータを整えることが難しいことだ。データの整備にかかるコストが、アナリティクス導入の障壁になっている。「アナリティクスのソリューションを展開するためのデータの整備、システムの統合はSAS1社ではできない。この課題については、今後、パートナーと連携して取り組んでいく」(堀田氏)