ソフトウェア開発企業Infinumは、ここ1年半ほどで手がけた「iOS」搭載機器向けと「Android」搭載機器向けのアプリ開発プロジェクトからそれぞれ6つを抽出し、その開発時間や工数の比較結果を発表した。それによるとAndroidアプリの開発はiOSアプリの開発よりも30%コスト高になっていたという。
iOS版とAndroid版でまったく同じ機能を有したアプリを開発するこれら6つのプロジェクトでは、iOS版の方がソースコード行数(LOC)で平均38%短かったという。コードが長ければ長いほど、工数も多く必要となる。Infinumの統計では、Android版を完成させるための工数は平均で28%多かったという。
このデータと、実際の経験に基づいてInfinumは、iOSアプリの開発に用いられるSwiftとObjective-Cが、Androidアプリの開発に用いられるJavaよりもコードの記述量という点で有利であることを示唆している。
また、Infinumは開発時の経験から、Androidのエミュレータの動作速度がiOSのそれよりも遅い点と、Androidアプリのレイアウトで用いられるXMLの使われ方が、iOSで用られるWYSIWIGによるアプローチほど効率的でない点を指摘している。
Android開発者には、その後の工程でもさらなる難関が待ち受けている。画面サイズやピクセル密度、さまざまなハードウェアコンポーネント、デバイス上で稼働するAndroidのバージョンによって異なるAndroid APIのレベルといった、無数の変動要素を考慮してテストを実施しなければならないのだ。
ハードウェアが標準化されており、機種もさほど多くなく、最新バージョンのOSにすぐにアップデートされるiOSに比べると、Androidではアプリの開発がずっと複雑で時間もかかるというわけだ。
もっとも、Infinumの所見が業界全体の状況を反映しているとは言い切れない。アプリ開発には開発者のスキルレベルや、使用するプログラミング言語に対する知見の深さといった数多くの要素が絡んでくるためだ。
それでもInfinumがこういった情報を公開したのは、アプリを開発しようとする場合、モバイルプラットフォームの選択にあたって考慮すべき点を示したいという思いがあったためだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。