デジタル未来からの手紙

スマートマシンとの「分業」によるビジネス変革とキャリアパス - (page 3)

林 雅之

2015-11-16 07:00

スマートマシンに負けない人間の5つの能力とは

 企業へのスマートマシンの導入進むことで、人間にしかできない業務へのシフトが求められるようになってくる。スマートマシンに負けない人間の能力とは何なのか、5つの能力に例にあげて整理する。

創造力

 人間には、新しいものごとを生み出す創造力を持っている。事業の枠組みをデザインし、新しい事業を創造し、ビジネスにつなげていくことができる。新規事業を立ち上げ、そのプロセスや自動化においてスマートマシンを活用しながら、事業をスケールさせていくといったアプローチはありだろう。

交渉能力

 人間には、ビジネスを進めていく上での対人関係を構築し交渉を進め、事業者同士による提携やサービス連携などエコシステムを形成することができる。通常のルーチンワークはスマートマシンに任せ、人間は、交渉によるビジネス領域を拡大させていく役割が重要となるだろう。

リーダーシップ力

 人間には、人を動かすリーダーシップを持っている。Gartnerの予測に、ロボットの上司による監視下に置かれる可能性を指摘しているが、データに基づく人間の業務評価の判断の一部をすることができても、リーダシップを発揮することは困難だろう。人間が、リーダシップを発揮することで、組織を動かしてく営みは、人間にしかできないだろう。

常識力

 人間には、常識的な判断をし、事業を進めていくことができる。スマートマシンは常識や道徳観を身につけることは難しい。さらに、日本人には、おもてなしの心をもって、サービスができる点は強みといえるだろう。

大局的な視点

 人間には、さまざまな経験に基づき、大局的な視点でものごとを判断し、行動することができる。スマートマシンは、学習することで、その分野の専門性を高めていくことができるが、人間のような大局的な視点で判断し行動することは難しいだろう。

スマートマシンとの「分業」を想定したキャリアパスを

 これまで紹介したように、スマートマシンにより、人間のキャリアパスはよくも悪くも影響を受けていくことになる。

 スマートマシンにより、人間への置き換えが進むというよりも、スマートマシンが作業できる得意な領域を任せることで、良きパートナーとして、「分業」を進め、より効率的でビジネスを発展させていくことが重要となるだろう。

 人間は、人間にしかできない能力を高め、中長期的なキャリアパスを考え行動していくことが求められていくだろう。

林 雅之
国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。

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