若手エンジニアの転職が止まらない理由とは--35歳定年説にとらわれる若者の決断

野本纏花

2016-02-28 07:00

 「若手エンジニアは数年で転職してしまう」。IT業界ではそんな声がよく聞こえる。彼らは、なぜ転職するのだろうか。また、若手エンジニアを受け入れる企業は、彼らのことをどのように見ているのだろうか。

 前回に引き続き、レバテックキャリアでコンサルタントを務める山田諒氏に、若手エンジニアを取り巻く転職市場の“今”について話を聞いた。

IT企業IT技術者の転職回数【年代別】


転職経験があるエンジニアの割合は、20代では約25%だが、30代以降は約50%と、
20代のうちに転職を経験する方が多いことが伺える
(出典:独立行政法人情報処理推進機構発行「IT人材白書2015」P.233より)

若手エンジニアの持つ転職への価値観

——山田さんがコンサルティングする中で、若手エンジニアの転職率の高さを感じることはありますか?


キャリアコンサルタントとして、転職を希望する多くの若手エンジニアと接する山田諒氏

 そうですね。他の一般的な職種と比べると、高い印象があります。これまで担当してきた方の中で、20代から30代にかけて転職経験のある方は、平均して1~2回。多い方は4回という方もいらっしゃいます。

——みなさん、どのような理由で転職を希望されているのでしょうか?

 やはり若手の方は、“チャレンジ転職”が多いですよね。「新しいことにチャレンジしたい」だったり「より高度なレベルの仕事がしたい」だったりと。7~8割は“スキルアップ”を目的とした転職だと思います。

 若いうちに経験を積んでおきたいけど、現実は上流工程やテスト工程がメインで、なかなか思うように開発経験が増やせないという方や、使っている技術が古くて、もっと新しい技術をキャッチアップしていきたいという方がたくさんいらっしゃいます。お客様の会社に常駐するようなSIerの方がWeb系のサービス会社に行きたいという要望も多いですね。

——若いうちに経験を積みたいと考える方が多いのは、どうしてなのでしょうか。

 「エンジニアの35歳定年説」をどこかで意識しているからではないでしょうか。30代になると、プロジェクトリーダーやマネージャーという立ち位置で仕事をしないといけなくなるので、それまでに経験を積んでおかなければ、将来いい仕事ができないのではないか、という現実的な危機感は、みなさん常に持っているように思います。

 あとは、周りの影響もあるでしょう。最近はエンジニアの勉強会が盛んに開催されているので、横のつながりが多いんです。勉強会で他社の最先端の技術を使った話などを聞いていると、「今のままではいけない」と感じて、転職を視野に入れる方もいらっしゃいます。


「賃金アップを目的とした転職は若手エンジニアにはあまり見られない」と山田氏は話す

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