運用コスト削減
サーバ仮想化と同様に、VDIでは運用コスト削減効果も大きい。仮想化によって自動化が容易になり、管理のしやすさが圧倒的に向上する。
例えば、物理PCのユーザーへの配布の場合を考えてみる。端末の調達から始まり、キッティング、OSやアプリケーションのインストールの後、ネットワーク設定し、セキュリティパッチも適用しなければならない。そこからユーザーへ配布し、管理台帳へ記入して、ようやく完了となる。
また、一度に設定できる数も限られるため、管理するPCの数が増えるほど工数がかかる。一度配布した後でもセキュリティパッチなどの管理も日々実施しなければいけない。
Windows Software Update Services(WSUS)を利用したとしても、ネットワークに接続されていない、もしくは社外に持ち出しているなどの理由で確実な更新は困難だ。さらに回収・廃棄の際も非常に手間がかかる。特に最近はデータをきちんと削除することも求められているため、適切な会社に依頼しないと簡単には廃棄できない。
一方、VDIの場合では、物理環境で手間がかかっていた作業を一気に自動化できる。あらかじめOS、アプリ、ネットワーク設定、セキュリティパッチまで割り当てたテンプレートを作成することができ、配布の際は一度に数百の仮想マシンを展開することも容易である。
また、このテンプレートのOSイメージにセキュリティパッチを当てて更新し、再度展開しなおせばユーザーに負荷を与えることなくOSを更新できる。廃棄についても不要になった仮想マシンを削除すればよいので、物理PCと比較して大幅に工数を削減できる。

さらに最新のVMwareのVDIソリューション(VMware Horizon 6)では、仮想マシンのアプリケーション管理も効率よくできるようにApp Volumesという機能が追加された。App Volumesとは、アプリケーション管理用の仮想ディスクを仮想マシンに割り当てる機能だ。これにより、従来はOSに紐付いていたアプリケーションを抽象化することで、より自由な管理ができるようになる。
App Volumesには大きく分けて2通りの使い方がある。1つは管理者が準備したアプリケーションを仮想マシンに割り当てて利用する方法で、もう1つはユーザーが自由にアプリケーションをインストールできる環境を割り当てる方法である。
仕組みとしては、ユーザーがVDIにログインする瞬間にApp Volumesの仮想ディスクが割り当てられることで、仮想マシンに対して一瞬でアプリケーションがインストールされる。
管理者が用意したアプリケーションを割り当てる場合には、App Volumesの仮想ディスクを読み取り専用にして複数の仮想マシンに割り当てることで、共通のアプリケーションを管理することが可能になる。また、ユーザーが自由にアプリケーションをインストールできる環境にする場合には、仮想ディスクを書き込み可能にしておいて個別に割り当てる。
こうすることで、仮想OSの部分は共通にしておきながら、アプリケーション部分はユーザーに自由度を与えることで、管理の効率化とユーザーの使い勝手を向上させることが可能となる。