新たな視点がイノベーションを生み出す--企業がオープンデータに取り組むべき理由 - (page 2)

Mark Samuels (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2015年11月12日 06時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

外部の専門家のための明解なデータ標準を作る

 一部の先進的な企業は、すでにオープンデータに向けた取り組みを進めている。Financial Timesの最高製品・情報責任者であるChristina Scott氏によれば、メディア組織はすでにビジネス全体を通じて、データアナリストを活用し、情報から得られた知見を活用する試みを進めている。

 同氏のチームはデータを公開し、組織内のすべての部門が、日常的な仕事を行うために必要な情報を得られるようにした。Scott氏によれば、このアプローチはオープンデータ戦略として捉えるべきものだが、その範囲は従来の企業ファイアウォール内の安全な領域内にとどめられている。この戦略は現在は社内向けだが、将来に向けて、組織外の人材を活用する方法も模索されている。

 「当社では、組織の外にもデータを公開できないかということも検討し始めている。当社が持つデータには多くの価値や知見が含まれており、これには作成したメタデータも含まれる。したがって、この情報をいかによりオープンな形で利用できるかを考えるのは素晴らしいことだ」(Scott氏)

 Financial Timesの事業の一部には、業界向けの雑誌も含まれている。Scott氏は、データを公開することで、さまざまな部門のB2B顧客にも新たな知見を提供できる可能性があると述べている。実際、同社はすでに小規模な試みを始めている。

 「われわれはハッカソンを開催し、APIを公開して参加者が新たなアイデアを思いつくチャンスを作った。しかし、オープンデータに関するこれまでの取り組みが、できることをすべてやった結果だとは思わない。そしてわたしは、これがほかの先進的な組織が向かっている方向だと考えている。先進的な組織は、その組織の中だけですべてのイノベーションが起こることはないと認識している」とScott氏は言う。

 同氏は、技術的なレベルでは、すでに多くのデータが公開できるようになっていると話す。しかし、そこには意志が必要であり、ビジネス上の利害関係者や組織外のデータの専門家を納得させるためには、ガバナンスやセキュリティの問題に適切に対応する必要がある。

 「データを理解しやすい形にする必要がある。組織内で、使われている分類を理解している者が日常的にデータを扱うことと、初めて見る人がデータを扱うことには違いがある。準備作業には、組織外の利用者に向けて、データの標準と説明を明確にすることも含まれている」(Scott氏)

信じて賭ける準備を

 Working LinksのCIOであるOmid Shiraji氏も、よりオープンな社会を指向する一般的な動きが起きていると考えているIT専門家だ。明確に定義された企業のファイアウォールの中だけで仕事ができると思っている経営者は、夢の国に住んでいるようなものだ、と同氏は主張する。さらに、そういった経営者は大きな利点を逃すことになるという。

 「所有するデータをさまざまな開発者に見せることができれば、イノベーションの恩恵を得ることができる。社内では扱えない分野に取り組んでいる外部の専門家にデータを提示できれば、大きな恩恵を受けることができるはずだ」とShiraji氏は述べている。

 多くのITリーダーは、組織外の専門家にデータを開示したいと思っている、と同氏は言う。同氏はデータを公開することを検討しているCIOに対して、小規模な開発会社に社内のデータサイロを詳細に調べてもらい、どのような関係が存在し、どのような利点が生まれるかを検討してみることを勧めている。

 Shiraji氏はこれまでに経験してきた仕事を振り返り、生活を豊かにするデータの使い方を見つけることに関しては、積極的に外部の支援を受けてきたと話す。しかし、CIOは規則や規制によって制約を受ける場合がある。

 「この種の試みには、多くの障害が伴う場合がある。しかしわたしは、そこから得られる潜在的なメリットは、リスクよりもはるかに大きいと考えてきた。組織がデータを公開することで、利用できる新たな市場やチャネルを作り出すことができると決断するためには、信じて賭ける必要がある」(Shiraji氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
月刊 Windows 10移行の心・技・体
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
セキュリティインシデント対応の現場
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]