海外コメンタリー

「OS/2」が「Blue Lion」として復活へ、その新機能や歴史など--誕生から28年 - (page 2)

James Sanders (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2015-11-13 06:30

 Rosenthal氏によれば、現時点ではまだ完成にはほど遠く、一般提供の時期は人的資源の観点から見て、早くて2016年第3四半期になるという。同氏はまた、このソフトウェアは確実にリリースされると述べている。この製品には相当な事前投資が行われており、プログラマーは経験豊かで、IBMが契約を結んだことでも分かるとおり、需要もかなり見込まれるためだ。

 Warpstockでプレゼンテーションを行った、横浜に住むArca Noaeの開発者Alex Taylor氏は、電子メールの中で次のように述べている。「驚くほど多くの顧客がいるだけでなく、それらの顧客が今回のディストリビューションを、今後もOS/2の使用とメンテナンスを継続でき、導入も可能なものにしてほしいと望んでいることも分かった。すでに基本的なハードウェアのサポートは、ドライバによって提供されている。オペレーティングシステムのインストールをはじめとする、上から下までのサポートを提供できれば、すべての関係者にとって、シンプルでコストパフォーマンスが高いものになるだろう。さらに、Blue Lionの開発によって、顧客が抱えるハードウェア、ソフトウェア、インフラの特殊な要件にも対応しやすくなる」

OS/2の簡単な歴史

 初心者には、WikipediaでOS/2の記事を読んでほしいが、ここでも簡単に説明しておこう。OS/2は1985年にIBMとMicrosoftのジョイントプロジェクトとして始まった。このパートナーシップは後に終了し、IBMはOS/2の開発を続け、Microsoftは1993年にWindowsのAPIを追加し、「Windows NT」としてリリースして、実質的にコードベースをフォークした。IBMはこのプロジェクトを継続し、すでにIBMのハードウェアを導入済みの企業(「IBMを買って首になった人間はいない」というフレーズが頭に浮かんだ)の間で成功し、積極的な開発は1996年のWarp 4のリリースまで続いた。

 IBMとエンタープライズ顧客との関係により、OS/2のサポートはその後も長い間続いた。IBMは移行を推奨しているものの、このOSのサポートは今でも継続している。1990年代前半にIBMがエンタープライズ市場で大きな成功を収めた結果、OS/2はさまざまな大企業でITエコシステムの一部にしっかり組み込まれて残存している。導入した組織には、例えば、Johnson & Johnson、PepsiCo、Whirlpoolなどの企業や、カンザス州有料道路公社(その社員はWarpstockにも参加していた)などが含まれる。

 2013年2月の米TechRepublicの記事で、Matt Nawrocki氏が「eComStation 2.2」のプレビューを行ったが、これは2000年にSerenity Systemsによって販売され、2008年にディストリビューションを引き継いだMensys BVによって開発されたOS/2の流れをくむ最新リリースだった。Mensysに経営上の問題が起きたために、eComStation 2.2は結局一般提供まで至らず、eComStationの権利はXEUに売却されたが、同社もまだeComStation 2.2の最終バージョンを出荷していない。

 今後、Arca NoaeがBlue Lionをリリースする前に、XEUがeComStation 2.2の最終リリースを発売するのはあり得ることで、その場合、IBMがこのプラットフォームの終了を発表した20年後の2016年に、OS/2の2つのディストリビューションが世に出ることになる。

提供:Screenshot by James Sanders/TechRepublic
eComStation 2.2 Beta 5のコマンドプロンプトと「Same Game」の画面。
提供:Screenshot by James Sanders/TechRepublic
提供:Screenshot by James Sanders/TechRepublic
eComStation 2.2 Beta 5のFirefoxで表示したTechRepublicのサイト。
提供:Screenshot by James Sanders/TechRepublic

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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