松岡功の一言もの申す

中小企業向けCSIRTの仕組みづくりを急げ

松岡功 2015年11月12日 13時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 企業におけるサイバー攻撃対策の“砦”として注目されるCSIRT。ただし、中小企業にとっては“高嶺の花”だ。リーズナブルなサービスの形で広く利用できる仕組みをつくれないものか。

EMCがCSIRT構築・運用支援サービスを提供

 EMCジャパンが先頃、高度なサイバー攻撃に対抗する組織体制である「CSIRT」(Computer Security Incident Response Team)の構築・運用を支援するサービス「RSA Advanced Cyber Defence」(ACD)を提供開始すると発表した。

 ACDは、米EMCのRSA事業部門が米国を中心とする企業に対してCSIRT構築・運用を支援してきた経験と、グローバル企業として世界各地の拠点をモニターする自社CSIRTの運用で培ってきた知見とノウハウに基づき、アセスメントからコンサルティング、構築・運用支援、技術トレーニングまでを総合的に提供するサービスである。

 同社によると、企業におけるCSIRTの必要性は理解されてきているものの、企業規模、配置できる人員とCSIRTスタッフとしてのスキル、事業リスクの所在や種類などが企業ごとに異なるため、手本となる事例が少ないと指摘。高度化するセキュリティ脅威に対応する体制の確立が急がれる今、CSIRTスタッフとして機能する人材を育成し、CSIRTを構築、維持していくことが企業の課題となっているという。

 そうしたニーズに対応したACDのサービス内容については関連記事を参照いただくとして、ここではCSIRTを大手企業が自ら設置するだけでなく、中小企業にもリーズナブルなサービスの形で広く利用できる仕組みをつくれないかという観点で考えてみたい。

「共助」のサービスとして実現したい中小企業向けCSIRT

 その前に、あらためてCSIRTの役割について、11月5日付けのマカフィーの公式ブログにおいて非常に分かりやすく解説されているので、そこからポイントを抜粋して以下に紹介しておきたい。

 「CSIRTはその名の通り、インシデントレスポンスを実施する組織である。インシデントレスポンスとは、ウイルス感染、不正アクセス、情報漏えいなどのセキュリティ脅威に対して、原因の調査、対策の検討、サービス復旧などを適切に行うことを意味している。これまで企業は、ファイアウォールやエンドポイントのウイルス対策などさまざまなセキュリティ対策製品を導入し、セキュリティ脅威に対処してきた。つまり、まずは問題を起こさないことに注力してきた」

 「しかし、サイバー攻撃手法が高度化している現在、ある程度被害を受ける可能性があることを想定しておくことが大切だと考えられるようになってきた。そこで、セキュリティインシデントが起こることを前提に、被害を最小限に抑えるための組織づくりの一環として、CSIRTを構築する企業が増えてきた」

 特に最後の部分がミソである。こうしたCSIRTを中小企業でもリーズナブルに広く利用できるようにするために、例えば健康保険組合のような「共助」のサービスとして構築・運用することはできないものか。必要なリソースやノウハウは、先に紹介したEMCのサービスなどを適用すればいい。費用面で公的補助があれば、実現性は高まるだろう。

 EMCジャパンの発表会見でこうしたCSIRTのサービス提供について聞いたところ、EMCのRSA事業部門でACDを推進するシニアマネージャーのStephen McCombie氏は、「米国企業ではセキュリティ対策を外部に委託しているケースも少なくない。


米EMCのRSA事業部門でACDを推進するシニアマネージャーのStephen McCombie氏

 ACDはどのような利用形態でも適用できる」と語った。EMCによると、CSIRTにはネットワークやデバイスを24時間365日監視してサイバー攻撃の検出・分析、対応策のアドバイスを行う「SOC」(Security Operation Center)の機能も含んでいると解釈していいようだ。

 今後ますます高度化するサイバー攻撃に対処するためには、企業規模にかかわらずCSIRTを利用できるようにすべきだと考える。大手企業は「自助」で対応できるだろうが、中小企業には「共助」の仕組みが不可欠ではないか。もう、そうしたことを考えなければいけない段階に入っていると、一言もの申しておきたい。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]