Microsoftが懸念しているのはWindows 10の導入ペースの鈍化だ。サードパーティーによる複数の調査で示されているように、リリース直後は速いペースで導入が進んだものの、Windows 10にアップグレードせずにWindows 7やWindows 8.1を使用し続けているユーザーも相当数いる。
また多くのユーザーは、今回のアップデートに対してWindows 10の安定感の向上を望んでいる。
Mary Jo Foley氏は米ZDNetの9月の記事で、「変動要素が多すぎるため、コンピューティングエクスペリエンスに安定感が不足している」というさまざまなWindows 10ユーザーの不満に同意している。
しかしKorst氏は、Windows 10にアップグレードしたユーザーから異なる声を聞いていると主張している。
同氏は「アップグレードしたユーザーの満足度は極めて高い。Windowsに対する満足度を世界的に見ると、Windows 7やWindows 8からWindows 10へとアップグレードしたユーザーの間では向上している」と述べたうえで、今回のアップデートにより、Windows 10の「互換性や安定性をさらに向上」させる「新たなコンポーネントが数多く提供される」と付け加えた。
日々の業務にもたらされるメリット
今回のアップデートにおける最大の変更点はテレメトリデータの送信を無効化する方法や、アップデートを遅延させる新たな方法、より簡素化されたアプリ配備方法の提供といった、法人ユーザーに対するものと言ってよいだろう。
「Windows Update for Business」によって、管理者は会社のPCに対するWindowsアップデートの配備を延期できる、すなわちアップデートを適用するタイミングごとにPCをグループ化したうえで、その適用日時を指定できるようになる。
また「Windows Store for Business」により、従業員に対するアプリの配備を柔軟に行えるようにもなる。
企業はアプリを一括購入したうえで、自社版の専用Windowsストアを構築し、事前に認めたWindowsストアアプリと、自社の業務アプリからなるオーダーメイドのアプリの一覧を従業員に提供できるようになる。さらに、アプリごとに使用対象者を限定することもできるようになる。
こういったWindowsストアの構築には、「Windows 10 Pro」エディションか「Windows 10 Enterprise」エディションとともに、「Azure Active Directory」(Azure AD)のIDが必要となる。
Korst氏は「この種のアプリを配布するうえで、管理者は大きな自由度を手にすることになる」と述べた。